3-15
返事の代わりに蹴り飛ばされた机がアタシの口を黙らせる。
きっと夕微なりに抑えようとはしてるんだろうけど…無表情のその顔からは怒りが滲み出ていた。
「…確かに"疾風"の人員は前より減った。けどそれが何だよ。お前に問題があんの?」
「…………」
「誰がいつお前を邪魔だなんつった?」
「…………」
「一緒にいてえからいるんだろうが」
「…………」
「お前はちげーの?俺らといてえからいるんじゃねーのかよ!!」
夕微の低い声が静かな教室に反響して、次に訪れた静寂はアタシの返事を待つもの。
…きっと夕微はあの目付きでこっちを見てるんだろう。獲物を逃がさない、鷲掴みにするような…鋭い目で。
そう分かっていたから……アタシは夕微の顔を見ずに教室を出ようとした。
「どこ行くんだよ」
「……帰る」
夕微の返事も待たず扉を開ける。
中の様子を聞き耳立てていた野次馬には目もくれず、アタシはその場から立ち去る。
………分かってるよ。また逃げてることくらい。
でもこうしなきゃ、あの瞳にきっと揺らいじゃうから。本音も弱音も吐いちゃうから。
だって……決めたんだ。
アタシのすべき事を。
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