3-5

目の前に現れた満面の笑みに、今まで上げたことのない奇声を上げながら飛び起きる。


「『わぁおぅっ!?!?』って…相変わらず面白いっスね~歩さん!!」


そう言って床に転がりながらも腹を押さえて笑ってるのは……暁斗。

暁斗とは確かブラビとやり合う前の集会以来だと思う。


「な、なんで暁斗がいんの!?」


この状況からして聞きたくないような気もするけど……。

それでも聞かざるを得なかったアタシが尋ねると、暁斗は困ったように笑いながら言う。


「それはこっちの台詞っスよ!!いきなり階段から歩さんがダイブしてきたんじゃないスか!!」

「うん。だよな。そうだよな。悪い」


や……やっぱり……。


どうやら黒崎暁斗氏は普通に階段を上っていたところ、突如落下してきたアタシの下敷きになってしまったようだ。南無三。


「暁斗ごめんな!!立てるか?」


笑い事じゃないよな…と思いながら暁斗に手を伸ばそうとすると、アタシの手を退かすかのように横から別の手がスッと伸びてくる。


「暁斗。大丈夫か?」

「おー。尚サンキュ!」


尚………?


アタシが気付かなかっただけでずっと隣に居たらしいそいつは暁斗を手早く立ち上がらせる。


あ……あー!!!!

見たことあると思ったら……前に集会の時アタシのこと睨んできた奴だ!!

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