2話 離れていく絆

2-1

どんなに気が滅入ったって朝は来るし、学校もある。


「そんでさー…」

「アイツがよ~…」


廊下を歩いてるだけなのに…周りの話し声とかがいつもより鮮明に耳に入ってくる。

みんな……アタシのことを話しているんじゃないか、って。


「おい。歩」

「…へ?」


不意に夕微に顔を覗き込まれて、アタシは少し遅れて顔を上げる。


「眉間にシワ寄ってる」

「あ……」


夕微に指を差されると…確かにそこに力が入ってて険しい顔になっていた。

そんなアタシに溜め息を吐く夕微。


「お前な…分かりやす過ぎんだよ」

「…だって…」

「だってじゃねーよ」


黙らすようにアタシの唇を夕微は親指で触れるとアタシの耳元まで屈む。


「まだ犯人特定出来てねぇんだから、くれぐれも普通にしてろよ」


……こんな時でも耳元で囁かれてドキドキしてるんだから、どうしようもない。


「………はい」


大人しく頷いたアタシを確認してから、夕微は教室の扉を開いた。

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