第13話学内交流戦2(開催前日)

 ついに明日から学内交流戦が始まろうとしていた。俺はライデンさんにみっちり基礎の基礎を教わる中で魔剣術の習得に励んでいった。短い時間の中でライデンさんの動きを見ながら学んでいった。 そして今まさにその成果を確かめるため、リンと模擬戦をしようとしていたところだ。

「いい刹那、全力で来なさい。じゃないと私が間違って怪我させちゃうから」

「分かってるよ。真剣勝負だ」

 そんなことを言い合いながら俺とリンは構えに入った。そしてお互いタイミングを見計らいながら体に力と魔力を込める。そしてお互いの魔力が手まで届き準備が整った。それと同時、互いに距離を詰め二人の間で剣が交わる。お互い身体強化を施しているためか、両者の木剣は少しでも誤れば折れてしまうほどの衝撃受けていた。そして互いの動きが止まったかと思うとリンが距離を取って呟く。

「中々やるわね、私の剣に追いつけるようになるなんて」

 そう言いながらリンが行ったのは先ほどよりも魔力を込めることによる踏み込み。それは先ほどとは比べものにならないほどの速く、俺は反応することに全力を注いでその一刀を躱した。だがそれは俺の髪に微かに届くほどギリギリだった。それを受けて俺が体勢を立て直すのを待つことなくリンは剣撃を加えてくる。

「そんなこと言いながらなんでこんなに速くなってるんだよお前」

 冗談交じりの会話をしながらも俺は押されていた。目にも止まらぬ速さで突きが飛び続けそれを俺はなんとか魔力で速度を上げ反応して多少は受けられているがそれでもそろそろこれを受けるのも限界だろう。だが、そのおかげである部位を突くときのリンの癖を俺は見抜いていた。

(身体の中心を狙うとき一瞬魔力を込めるタメが生まれる!)

俺はそのタメを感じ取り突きに来るであろう身体の中心に意識を集中させ、そこに目掛けてリンの剣をなんとか弾こうとした。

「ふんっ」

 予想通り身体の中心を狙った突きが飛んできた。それに俺は対応出来た、と思ったらその剣先を俺は捉えることが出来なかった。フェイントだ。リンの剣を弾こうとした俺の剣の下に入り込みそのまま俺の脚に強烈な一太刀を与えた。その痛みと衝撃によって俺は地に伏せた。

「いっつーっ!」

 その様子をリンはニヤケ顔で見ていた。

「ふふ~んあんたが私の癖を見抜いてたなんてわかってたのよ。だからこそ分かりやすくあんたがカウンターしやすそうな動きをしてあげたのよ」

 何回か模擬戦をして分かったのは、リンの剣がとてつもなく鋭く正確だということだ。それにライデンさんとは異なる動き方をしている(おそらく独学なのだろう)。そんな磨き上げられた剣なのだ。魔法を使いながら戦えてたらどれだけの強さになっていたのか分からない。

「じゃあそろそろ昼食にしましょ」

「おう、そうすっか」

 そう言い、俺とリンは訓練場を後にした。まだ慣れたとは言い難いこの暗い階段を俺が松明を持って上っていく。

 そして地上まで来れたところですぐそばまで歩いて来る人影があった。ライデンさんだ。よく見てみるよ昼食を用意していたのか右手には布をかけられた大きな籠を下げていた。

「これはこれはお二人様、ちょうど良かった。昼食の準備ができておりますのですぐに昼食を取りましょう」

 そして3人で中庭の噴水に腰かけライデンさんは籠から大量のサンドイッチを俺に差し出した。

「うわぁ美味そうだな」

 そう言いながら俺はそれを手に取り、頬張った。予想通り美味かった。とくにこのベーコンエッグサンドだ、塩味の含んだベーコンにほのかに甘みがかった卵がベーコンの塩味を邪魔しないように最低限の主張をして釣り合いをとっている。

「美味いですねこれ!」

「そう言ってもらえて何よりでございます。好きなだけお食べ下さい」

 俺はお言葉に甘え、好きなだけ食べた。リンも自分のタイミングで食べ進めた。

 そうすると少しして籠の中身は空になった。

「あ~美味かった。ライデンさんありがとうございます」

 それに対してライデンさんは小さく微笑んだ。昼食を済ませたため、俺とリンはまた訓練場に戻ろうとするとライデンさんが声をかけた。

「言い忘れておりました。刹那様、少しお話があります」

「え、俺ですか?」

 俺はキョトンとしながらそう答えた。

「少し時間がかかりますのでついてきてください」

 そう言われた俺は理由もわからないまま着いていくことにした。

「ちょちょっと!私はどうすればいいのよ!」

 リンは歩いていく俺たちについていこうとした。

「ひゃっ!」

 だが、それを止めた手があった。リンが振り向くと一人の見覚えのある男が肩に手を置いていた。エルターさんだった。

「お、お父様どうかしたの?」

 その問いにエルターさんが答える。

「少し刹那君について、話しておこうと思ってね」

 そう言われてリンは了承し、エルターさんに付いていく。





 そして私はお父様の書斎に足を踏み入れた。お父様は自分の机に向かい大きな椅子に腰掛けた。

「刹那君の適性については聞いていると思うけど覚えているかい?」

 その問いに私は頷きながら答える。

「ええ覚えているわ。とてつもなく魔力があるのに魔法適性がないなんて、いったいどんな体をしてるのかしらね。まるでゾンビみたい」

 私は少し冗談めかして笑った。

「ゾンビか、確かに似たようなものかもしれないね」

 何か含みのある言い方だった。どういう意味が込められているのだろうか。この人は何か企んでいるとき、たまにこういう風になる。

 そしてお父様は重い面持ちでさらに告げる。

「一応彼はゾンビではない。意思疎通ができているし少なくとも私たちと同じ人間として人生を歩んできたはずだ」

「それは分かってるわよ。で、結局何が言いたいのよ」

 そう言うとお父様はさらに重い面持ちで続ける。そして私は、衝撃的な一言を告げられる。

「オリヴァ曰く彼には魂がない様なんだ」

「ッ!?なんですって?」

 魂、それは生物としての存在そのものだ。そして私たちが魔力を操り、魔法を行使できているのは全て魂のおかげと言っていい。魂が無ければそもそも魔力なんて持てるわけがないのだ。ゴーレムみたいな魔力で作られた傀儡じゃない限り。

「じゃあ刹那は一体何だって言うの…?」

 お父様は立ち上がり、私のそばまで歩み寄り語りかける。

「今のところ、彼の体について調べられることは少ないだろう。そもそも彼には感情はあるが記憶がない。記憶が戻らない限り私たちに危害を加えることはないはずだ。だから、今までどおり彼のパートナーとして生活してくれ」

「で、でも」

 私の声を遮るようにお父様は続ける。

「ただもしも、彼が記憶を取り戻してすぐに危険を感じたらリン、君の手で彼にとどめを刺すんだ」

 お父様は私に珍しくそんな残酷なことを告げた。まだ出会って間もないけれど、確かに刹那は私が拾ってきた従者でありパートナーだ。責任は私が取るべきだろう。

 刹那は私がこの手で――――




あとがき

どうもこんにちはカギナナです。今回もリバース・ワールズ・アカデミーを読んでくださりありがとうございます。次回からはついに学内交流戦が本格的に始まります。どんどん面白くしていくのでこれからもどうか見てくれたら嬉しいです!そして作品のフォローやレビューをしてくださると私が宇宙まで飛ぶ勢いで飛び上がります。

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