第11話学内交流戦1(中)
「なんとかお互いの顔と名前は覚えられたようだし、早速稽古を始めてしまおうか」
以前ののように見定めるかのように圧をかけてくることもなくなって友好的な雰囲気でそう話すのはこの屋敷の、はたまたここ一帯を統治するエルターカルネシオンだ。
それに対して、さっきまで様子を伺っていたリンが答える。
「ええ、その方がいいわね。ほら刹那!ライデン!早く行くわよ」
「おう!」「承知しました、お嬢様」
ライデンさんが言う。
「では中庭の地下に訓練場があります。そこなら魔法に対する対処の訓練もすることができます。案内致しましょう」
この屋敷には地下があるらしい。地下に訓練できるほどの規模の空間を作るなんて随分と作り込まれているようだ。そう思いながら今いた部屋を出て俺はリンと並び、ライデンさんの後をついて行きながら未だに慣れない広い廊下を歩いた。そこで気になったことをリンに尋ねることにした。
「なぁリン」
「ん?どうかしたの」
「ライデンさんって結構すごい人だったりするのか?」
俺はそんなありきたりな質問を繰り出した。
「うーんそこら辺あんまりわかんないのよね私が生まれた頃にはもうこの屋敷で仕事してて私のお世話もしてくれてたのよね」
「なるほどな」
そんだけ前からここであんな人の懐刀やってんのか。それほど信頼されてるってことなのか。
「まぁあと私が知ってることと言ったら昔のお父様にも剣や魔法を教えてたってことぐらいかしらね」
「いやそれ絶対凄い人じゃねぇか!!」
わからないって言いながら普通に凄い人じゃないわけないやん。詐欺ですやんそんなん。
そんな会話をしていくと以前案内された時には見かけなかったような場所まで訪れ、そこには随分と錆びついた鉄扉がついていた。そしてライデンさんはポケットから同様に錆びている事が見て取れる鍵を取り出し、その扉の鍵を開けた。
「お、おぉ」
俺は一瞬声が詰まった。扉の中を覗き込むとすぐに降りる螺旋状の階段があり、それはまるでこちらとは断絶されたかと思うほどにこちらの光がまったく届かない奥深くまで続いているようで暗すぎて先が見えない。
「ここに地下訓練場があります。少し長くなりますがついてきてください」
正直雰囲気は拷問とかされそうな雰囲気の場所だったがここを進まないと何もできないままだと思い直し、その言葉に頷いた。
ライデンさんが光の魔法を用いて足元の階段を照らし、その階段を降りていく。それに俺とリンはライデンさんの姿が見えなくならないようについていく。
その階段は随分と長いようで少し降りた程度では終わりがまったく見えてこない。そして俺の服の裾を何かが掴んでいたことに気がついた。リンだった。
「どうしたんだ暗いの苦手だったか?」
声をかけられたリンがびっくりしたのか少し体をはねさせてから俺の質問に反応した。
「なななにをいいいってるのかしら、こわくくなんてないわよ?」
「いやめちゃくちゃ怖がってんじゃねぇか」
しょうがなく俺はリンに手を差し出した。
「なによその手」
それから数分の間同じような暗がりが続いた。その間暗く少し冷たさのある階段で聞こえていたのは、3人の足音と微かな息遣いのみだった。
「ライデンさん結構下まで来ましたけどまだつかないんですか?」
「あと少しで着きますのでもう少しだけ付いてきてください」
それからまた数分後、奥に灯りらしきものが見えてきたかと思うとそこからすぐに階段が終わり、目の前は長い一本道になっていた。松明が立てられていたがその明るさは少し淡さが残っていた。そしてその一本道を歩きながら周りを見渡すと鉄格子がずらりと並んでいた。まるで多くの人や動物をそこに閉じ込めていたかのようだった。
「な…何なのよこれ」
その異様な雰囲気に隣にいるリンも驚いているようだ。
「ライデンさんこの牢屋みたいなのはなんなんだ?」
それに対してライデンさんは表情を変えずに答える。
「昔、と言ってもごく最近のことですがこの屋敷は多くの奴隷や囚人などを閉じ込めていたのですよ。今は大事がなければ基本的に使われることはありません」
そんな話をしながら歩いていくとかなり大きく広がった場所に着いた。その空間は壁で丸く囲われていて、その壁の上部は壁に沿うように階段状に並べられており、まるでギャラリーのようであった。そのような場所の名前を一つなんとなく知っていた。闘技場だ。
「ここが今日から使用する訓練場です」
「あのライデンさんなんで闘技場なんてものがあるんだ?」
そのなんとなく出て来た疑問にもライデンさんは答える。
「まだ奴隷や囚人がこの国に多く残っていた少しの期間、前領主様が他貴族を交えて賭博をしておりまして。そのために用意されたものでございます。エルター様が当主になってからはその一切が辞められ、現在は武器などの道具を貯蔵をする役割となっています」
なるほど、いろんな事情が今までであったみたいだな。そんなとこに訓練用に連れて来るのもどうかとは思うが。
そんなことを思いながらふと近くを見渡してみるともうすでに複数本の木剣が壁に立てかけられていた。ライデンさんはそれを握り、数歩ほど歩いてこっちに向き直る。
「では時間がもったいありませんので軽く剣に慣れてもらいましょう。早速そこの木剣で私に打ち込んで来てください」
それに応えるように俺は木剣を掴みライデンさんへと踏み切る。
「うらぁぁぁ!!」
そして俺を見つめていたライデンさんに剣を真上から振り抜く。
「うぇ?」
直後、目の前の人が消えた。いや、本当に消えたわけではなく避けられたのだろうがそれに気づくことに数瞬の時間を要した。すると後頭部に衝撃が伝わる。予想外の衝撃だったことから俺は勢いのまま前方に倒れ込んでしまった。そして振り向くとライデンさんが少し可笑しそうにこっちを見ていた。
「申し訳ありません、随分と隙だらけだったもので後ろに回らせていただきました」
すごいなんてもんじゃなかった。一体いつ後ろに回り込まれたのか一切わからなかった。
そのように思っているとリンがライデンさんに声をかけた。
「ライデン私とも一回やりましょ、刹那みたいにはならないから」
「それならばどうぞ、いつでも来てくださいませ」
そしてリンは剣を構えて数秒ライデンさんを観察していくと瞬間突進のような踏み込みでライデンさんに向かっていく。そして互いの剣がぶつかり合う。それは素人の俺でも分かるほどに洗練されていた。その動きはまさに努力を重ねてきたリンだからこそできる動きなのだろう。ただライデンさんもリンの剣撃をいとも簡単に受け流していた。
「お嬢様、やはり成長していらっしゃいますね」
「そんなこと言うんなら一発ぐらい受けなさいよ!」
激しい攻防を繰り広げている中で俺の目も慣れてきた。そうするとリンの動きに強引さが出てきたことに気付いた。
「てや!」
リンがここで決めるかのように刺突を繰り出すその時一瞬だが剣先に淡い光を放った。
「っ!?」
だが直後光が消えリンの動きが鈍る。
そしてその刺突をさっきの俺に対してと同じように消えるような回避を見せ、ライデンさんの脇を通りすぎるリンの頭に軽い峰打ちを打った。
「私の勝ちですね。お嬢様」
「あーもう!また負けた!!」
その後、ライデンさんが俺の方へ歩みより言ってきた。
「最後お嬢様が使った技は見えたでしょうか」
その問いにこくりと頷く。
「あれが魔剣術。魔力を剣に流し込み威力を高める技術です。これからあれを学んでもらいます」
「押忍!」
魔剣術、マスターしてやろうじゃねぇか!
絶対にリンの力になってやる――――
あとがき
今回もリバース・ワールズ・アカデミーを読んでくださりありがとうございます。最近落ち着いてきてようやく投稿頻度が改善されてきております!ようやく戦闘要素を入れることができそうですでとてもワクワクしています。これからさらに面白いものに仕上げていくつもりなのでこれからもどうぞ末永くよろしくお願いします。あ、あとフォローやレビューをしてくださると制作の励みになります。ではまた次回byカギナナ
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