第14話

「悪いけど…」


「先輩っ…」




來人がそう言おうとした途端、女の子は來人に駆け寄りその胸に飛び込んだ。


抱きつきに行った。




「好きです…!」




私は思わず身体を引っ込めて、窓に背を向ける。


ちょっと、動揺…しちゃったかも


見たくないって思ってしまった。




「ちょっとちょっと抱き合ってんだけど」


「…」


「わーやだーキスしちゃうんじゃない」


「…」




美沙がわざとらしくそんな言い方をするので、またソ~ッと顔を出して中庭を見下ろすと來人が女の子を困った顔で引き離すところだった。


ジトリと横目で美沙を睨むと、意地悪げに笑う。


嘘つきめ…


ちょっと焦ったじゃない。

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