第18話 進捗
美優とアルメイラに訪れてから、約2週間が経とうとしていた。
美優と向き合わなければならない気がして、結構な頻度で会っていた。
京極先輩とはあれ以来会ってない。
バイトも行ってないらしく、音信不通だ。
美耶曰く、前にもあったけど、心配しても仕方ないから、待っているしか無い、とのことだった。
美耶とは週一で会っている。
今の俺の最大の理解者だ。
ただ、いろいろ久しぶりだったから、情欲に火がついて仕方ないらしい。
別の男とは浮気しないから、特定の女性とは許して欲しい、とカミングアウトされた。
いわゆるバイなのだそうだ。
「嫌いになっちゃう?私のこと。」
「いや…」
「どうしても捨てられない子だから…ひーちゃんは…」
アルメイラのNO2。神山陽菜。
俺のことをじっと見ていた、あのキャストさん。
店長代理として、美耶をサポートしている。
「捨てろ、とは絶対言わないけど?」
美耶の着衣をするする脱がしながら、俺。
「一生でも?」
意を決した表情で尋ねてくる美耶。
このところ美耶は、
「絶対離れない。」
と、俺に言っていたから、俺とひーちゃんさんとの板挟みになってたのだろう。
「一生でも、だよ。」
「…良かった…」
安堵の表情になる美耶。
さすがにそれが男なら、どちらの子か分からないから問題になるだろうけど、女性ならば問題はない。
一族との取り決めにも無いからだ。
「あと、夏海はどうするの?」
俺のを手で刺激しながら、このところ会いに行ってない夏海さんのことを切り出す美耶。
「夏海、修が会いに来なくて凹んでたけど?」
……
正直、美優のことでいっぱいいっぱいになって、夏海とのことを進めていく気がしなくなった俺。
間違いなく夏海は男経験が無いだろうから、どう進めていくか、分からなくなったのもある。
「強引に距離詰めちゃえば良いんじゃない?」
すっかり脱がされて全裸になった美耶。
「どうかな…」
正直、どう相対しても、恋人関係を迫られて、そこでおしまいな気がする。
美優のときのようにうまくはいかないだろう。
木曜日午後6時。
今日は意を決してアルメイラに来た。
おしまいだとしても、それは早い方がお互い傷口が小さくて済む。
少なくても、お互い好意を持ち合っているのは分かっているから、今日はどんな結果になっても受け入れるつもりでやって来た。
今日、案内されたのはカウンターだった。
個室かと期待していたが、美耶が妬きもちを妬いたのかも知れない。
個室だと会話そっちのけでイチャイチャしてしまうからだ。
「あっ!」
久しぶりに見る夏海。
パッと表情が明るくなるのが分かった。
会えなくて凹んでいるのは間違いなかったのだろう。
「夏海さん、久しぶり。」
「どうしてたんですか?なかなか来ないから、心配してました。」
「ちょっと野暮用とかあって…」
「お仕事ですか?」
…そう言えば夏海さんは、俺のことを歳上の社会人だと思っている節があって、学生だと言うことを知らない。
「まぁ、そんな感じです。」
「女の人とか、です?」
表情をやや曇らせながら、恐る恐るという感じで尋ねる夏海。
「いえ。俺、あまりモテないですから。」
少しホッとした表情になる。
「そんな、嘘っぽいです。修さん、凄くかっこいいのに。」
無我夢中でキスし合った仲、だからだろう。
明らかに夏海の中の俺は存在が大きいものになっている。
「褒めても何も出ませんよ?夏海さんこそ、モテそうだけど?」
「そんなこと無いです。明日もただの人数合わせの合コンで、今から憂鬱ですもん。」
ちらっと俺の反応を窺う夏海。
行くな、とか言って欲しいのかも知れないが。
「合コン、良いですね。良い人いたら、どうします?」
俺はわざと揺さぶりをかけてみた。
今の夏海には意地悪な質問だったかも知れない。
「…居ない、と思います。」
ショックがありありと見える夏海。
期待した返事ではなかったからだろう。
目に見えてしょんぼりしている。
…少しは元気にさせてあげないといけないか…
「合コンは何時までです?」
「駅前の居酒屋で8時までです。」
まだ凹んでいる夏海。
「良かったら、その後、酔い醒ましにどこかお出かけしませんか?」
凹んでいる夏海にとっては意外な提案だったのか、少し目を見開いて驚いているのが分かる。
「あ、でも、合コンで良い人が居たら、迷惑になるかな?」
「いやいや、そんなこと無いです。行きます行きます!」
慌てて返事する夏海。
「場所はどこでしてるんですか?合コン。近くで終わるの待ってますよ?」
「いえいえ!駅前の『鳥てい』という居酒屋ですけど、終わったら連絡しますから、修さんの連絡先を教えて頂けたら!」
みるみる元気になるスポーツ少女。
「連絡先、聞いても良いですか?」
「もちろん。」
「あの、、時々でも連絡とか、したらダメですか?」
目が爛々と輝いている夏海。
もちろん断る理由はない。
「夏海さんなら、いつでも大歓迎です。遠慮せずに連絡してくださいね。」
ラインと電話番号を交換。
ラインだけでも良かったが、電話番号は喜ぶような気がしたから。
その日は小1時間でアルメイラを出た。
帰る際に夏海にとても名残惜しそうにされたけれど、何となく美耶や美優のことを考えて、夏海のラストまで居残る気はしなかった。
それより明日、夏海に対してどう接するかを考えなければならない。
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