貴女を死ぬまで愛してる

山鮪

第1話 終わり

「どうせ私の事なんかす、好きじゃなかっ、ん、でしょ!?」

そう言うと彼女は私をぶった。これで何回目だろう。


今まで色んな人と付き合った。けどあの人に勝てるような出会いもなくて、中途半端な私は相手からの好意を断れず、ずるずると関係が長引いて、最後はいつもこうだ。


別れる度あの人のことを思い出す。


綺麗だった。儚くて、シルクみたいな肌が忘れられない。胸は柔らかくて、おっきくて、今でもその感触が脳にこびりついている。

顔も性格も生き方も、全部大好き。

でもあの人と私は結ばれなくて、その後悔は今でも私のことを苦しませる。


「...ごめん」


ああこうして今回も終わっていく。罪悪感はもう擦り切れて、残ったのはこの子も違うという思いだけだ。

あの人が結婚してもう5年は経つ。私のことを振ったあの人は、私と違って普通に、運命の人とか言って男に恋をして結ばれてしまった。綺麗なあの人は今、あんな汚い生き物に股を開いている。

考えていると吐き気がする。あの美しさが汚されているのを想像するだけで私の脳は理性を失い、全て壊してしまいたいという衝動に駆られる。

きっとこの呪いは一生だ。

ふざけるな、私はこんな、もっと...


帰路に着く。慣れたとはいってもやはり別れには思うものがある。

家に帰って寝よう。そうすれば少しは楽になれる。

そうして帰っている途中、私は出会った。いや出会ってしまった、あの人に。

嬉しいはずなのに、会いたくない。汚れたその姿を見せないでよ。なんで今更、こんな、出会って、私に...!

ああダメだ。愛しい気持ちが湧いてくる。我慢ができない。

私の足は操られるように前に進む。一歩、二歩、彼女の涙が見えた。足が勝手に走り出す。

「恵...さん...」

大丈夫かな、湧き出る怒りと愛おしさを上手く隠せてるかな。

「しおり...ちゃん?」

彼女の顔をよく見るとアザだらけで、私の頭が沸騰する。

「そ、なんですかその顔!何が...!」

ダメだ。抑えられない。なんだそれは、

「違うのしおりちゃん...これは別に転んだだけで」

嘘だ。そんなはずない。だってこれはお母さんのと一緒で。

「嘘をつかないでくださいよ、あの男がやったんでしょう」

冷静にならないといけないのに、無理だ。

あの人を見つけた時のように勝手に体が動く。無理やり連れていこうと手を取ろうとする。

「違うの!あの人はそんな人じゃないから!今はこうだけど!きっと...!」

恵さんは私の手を跳ね除けてそんなことをのたまう。こんな辛そうな顔をしておいて、なんで、私は心配で、辛いのに!もしかして未だに愛しているとでも言うのか、ふざけるな。

幸せになったとしても許せないのに、そんな、こんなことって...!

私が幸せにしたかったのに、隣でいるのは私でありたかったのに。私の人生全部むちゃくちゃにして、全部奪っていったくせになんで笑ってないんだよ。

神様がいるならきっと私は嫌われている。だって今こうして出会わなければこんな終わり方もせず、いつかは振り切って生きていけたはずなのに。

私の始まりはきっと恵さんに出会ったときで、

恵さんで始まった私の人生はこの瞬間、終わりに向けて走り出した。



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