第34話

細かい文字でビッシリと記載されている用紙を手に取り、内容を読もうとしてもピンとが合わずボヤけてしまい数秒、目頭を押さえては誤魔化した。


 本人も原因はわかっている。雑用兼アシスタントとして住み込みで働き始めたが、この新しい生活に慣れずほとんど寝不足なような毎日を過ごしているせいか、疲労が蓄積されているのだ。

 だがそんな事をシバ社長に言えば『体調管理も仕事だろ』とか言い兼ねない。説教されるなら黙って早めに回復しないとと自分に言い聞かせていた。


「この案について何かあるか?」

「あ、はい……えっと、ですね……」


 返答を求められるも正直、内容が頭に入って来なくて感想が出て来ない。


「どうかしたのか?」

「……すみません。少し時間を頂きたいです」

「……そうか、わかった」


 イトカの様子に社長は妙な違和感を感じたが、それほど気にしてはいなかった。


 結局、本来は社長の仕事である案件を住み込み先の屋敷に持ち込み、台所の掃除をしながら考える羽目に。

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