第2話

ハルと出会ったのは、朝が灰色になる少し前。

大学生と社会人に挟まった季節だった。


大学生でも社会人でもない。

なんでもない人。

かろうじて未来の約束切符だけを持っている人。


Twitterで映画の話で盛り上がった趣味の友だちと、

ひさびさ呑もうぜと新宿の居酒屋で再会した夜。

その席にハルもいた。


ハルは友人の彼女だった。

自分より十歳も年上の、友人の恋人。

それなりに友情を育んできた友人の。

まさかだ。信じられないほどのまさか。


3ヶ月後、僕は立派に社会人になった。

なんでもない人の季節は終わりを告げる。

その新しい季節、隣でハルが寝ているなんて。

寝ているなんて、なのである。


ハル曰く。

あの恋はもう終わりそうだったし、

ナツキの方が映画の趣味が良いからと。


映画の趣味は、納豆に何をいれるかとか、

ラーメンに何をトッピングするかと同じくらい大事だから、

合うか合わないかは死活問題なんだぞと言っていた。


僕には何がなんだかだけど、

ハルとの映画の好みは

検索履歴でも見られているんじゃないかと思うほど、

ピッタリだった。

友人との相性の悪さも用意に想像できた。

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