こおりのキスは絶望<みつ>のあじ――もたらされる鐘は終焉か祝福か

和泉ユウキ

プロローグ


 アッシュにとって、この日はいつも通りの日課をこなすだけのはずだった。


 いつも通り、ギルドから依頼を受けていた。

 いつも通り、ダンジョンに潜って指定された魔物を狩るだけだった。

 いつも通り、レベルの最高地点の300を目指すだけだった。


 レベルが300になれば、世界中で指定されている禁止区域に入れる。

 禁止区域に入れば、目的のものが手に入る。

 目的のものが手に入れば、弟を助けられる。

 そうすれば。

 ――そうすれば。


 あと少し。

 本当に、あと少しだった。



 依頼で潜っていたダンジョンの最下層で、あんな女に出会わなければ。



 人間の生命の象徴とも入れる血塗られた様に真っ赤な瞳。

 それでいて、血の通わぬほどに凍てついた色を見せるアイスブルーの髪。



 あの日、この女に出会ったこと。



 ――オレは、死ぬまで呪うだろう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る