エロゲ世界に転生した社畜。天使な妹たちに癒され……ん?なんかみんな様子おかしくない??

天春 朔

第0話 あのエロゲプレイしてないのに(泣)

「癒しが欲しい……」


 俺のことを「お兄ちゃん」と呼び、ころころとさまざまな笑顔を見せてくれるそんな妹が。


「癒し、なんてないか」


 机の上を見たら現実に引き戻された。


 目の前に積み上がったのは大量の紙の山。そして横には缶やビンが転がっている。


「何やってんだか、俺」


 パソコンをカタカタと打ちながらため息を吐く俺、音坂 孝則(おとさか たかのり)24歳。社会人で、絶賛ブラック企業勤めである。


 なぜ、ブラック企業に俺は勤めているのか?


 大学3年の時企業の面接に落ちまくり、ようやく受かったのがブラック企業で辞めることができず、今に至るというわけだ。もう何週間も家に帰れない生活を送っていた。辛い。


「(うぅ、せっかく"天使たちとラブ魔法"が発売したのにーー! プレイできないなんて)」


 天使たちとラブ魔法、通称テンラブは最近発売された所謂18禁のエロゲーだった。

 天使みたいなヒロインたちが登場し、ファンタジー世界でそんなヒロインたちとラブラブイチャイチャできるゲームだ。

 テンラブはキャラゲーに特化したメーカーが発売していて、俺の大好きなエロゲメーカーの一つ。なので、テンラブの発売を心待ちにしていたのである。


 大学生の頃に先輩にエロゲを勧められてどハマりした俺は、在学中に数々のエロゲをプレイしてきた。社会人になってもこの趣味を続けたかったし、社会人になったのはエロゲを買うためってのもあった。


 なのに勤めたのは、ブラック企業。会社に拘束され過ぎて買ったエロゲは積みゲーに……


「(俺、何のために働いてるんだろう)」


 毎日上司には怒られ、仕事を押し付けられ、帰れない生活。大好きなエロゲをプレイすることができない。


 大好きなメーカーの発売日だったから溜まった有給を消化して休みたがったが、上司からはなぜか怒られる始末。


 パソコンを打ちながら、近くにあった缶に手を伸ばす。いつものように飲もうとした時、缶が床に落ちた。


「あれ?」


 気がついた時には体は重力に従い、床に倒れていた。力が入らず、なぜか起き上がることができない。


 意識がブラックアウトしていく。

 そんな時でも、思い浮かぶのは大好きな趣味のこと。


「(テンラブでヒロインたちとイチャイチャしたかったな)」


 ただそれだけが願いだった。



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