第42話

「はぁ!?」



なんだそれ…てか、今ここで!?



「いただきます」



暁の声と同時に押し倒された。



「…ちょ、待って…」



「…ムリ…我慢出来ない」



「なっ…暁…!」





「お楽しみのとこすみませんがー、颯斗見つかったんなら連絡くらいくれませんかぁ?」



突然、聞こえた声。



「愁っ!!」



「原野っ!?」



肩で息をしながら、携帯を片手にこっちに歩いてくる。



「ごめん、ごめん、忘れてた…」



「そうですねー、こんな所でお熱いですねぇ?まあ、仲がいいこと!」



嫌みったらしく言われる。




「あぁーっ!!」


「暁が颯斗襲ってる!!」



原野の後に続いて来た双子。



「その格好のままは…マズくないですか?」



「「え?」」



俺の格好を見てみると、女の浴衣なのに…胸がない…という残念な格好。



「「…あ、」」



そういえば、今日は女装してるんだった。



「…人に見られたら、確実に変態扱いだな」



市川が鼻で笑いながら言う。



確かに、この格好は…



とりあえず暁から離れて、浴衣のはだけた胸元を直す。



「佐々木、…またお願いしてもいいか?」



「はいはい、自分じゃ着られないでしょう?」



そう言いながら、浴衣を着せ直してくれる佐々木。



「…体、冷たいですよ?」



「えぇ!こんなに暑いのに!?」


「それは、大変だぁ!」



海と空が俺に抱きつく。



「「温めてあげるー!」」



ぎゅうっと抱きつかれて、腕が圧迫される。



いつもは何とも思わないのに…



無性に愛しく感じた。



「うん、温めて…」





いろいろあったけど、

夏祭りに来て良かったと…


花火を見ながら思う颯斗であった。

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