第40話

俺、めちゃめちゃ甘党だし。とキメ顔した直人に、知ってる、と答えて。


2人で顔を見合わせて笑った。





きっとどんな味でも、直人は美味しいと言ってくれるだろう。



次はもっと美味しく作ろう。


こんな私を、好きだと言ってくれた恋人のために。





それと、心の準備もしておこう。



次またあんな風に押し倒されたら、断れる自信はない。



今日だって、嫌なわけじゃなかった。


ただ、突然のことに頭が追いつかなくて。



…今度、優奈に詳しく教えてもらおう。










「ナオ」


「なに?」





胡座をかいた直人の膝の上によじ登って、向かい合って座る。


額と額をくっつけて、骨張ってるのに少しだけ筋肉質な体を、丸ごと抱きしめた。





「大好き」


「…俺も」





力加減を探るように、背中に腕を回してくれる。


いつだって私を思いやってくれる彼を、大切にしたい。





「準備できたら私から誘うから、待ってて」


「え、」





目を見開いた直人に、唇を押し当てるだけのキスをして。


いつも余裕ぶる恋人を真似て、ぺろりと舌を覗かせた。




もう少しだけ待っててね、ダーリン。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る