第4話

「髪、チクチクしてくすぐったい」


「そんな短いズボン履いてるからだろ」




むき出しの太腿に、髪の毛が直接触れてむず痒い。


なのに悠聖はちっとも悪びれずに、私の脚をぺちんと叩いた。




「別に部屋着なんだから良いでしょ」


「じゃあ我慢して」


「なんで私が我慢しなきゃなんないの」




あまりのワガママっぷりに、思わず脚を引っ込めた。


いて、と悠聖は眉をひそめたけれど、下はベッドなんだから痛いはずがない。




「そんなに膝枕が好きなら、家で悠聖ママにでもやってもらいなよ」


「だから違うって言ってんだろ。お前のが良いの」




え、それって…?



少女漫画脳の私の頭に、ちょっとだけピンクのお花が咲いたのも束の間。


ぷにぷにしてて柔らけえ、と意地悪げに目を細めた悠聖の頭を、持っていた漫画で軽く叩いた。




「暴力女」


「うるさい変態!スケベ!セクハラ!」




そもそも従兄とはいえ、付き合ってもない女の子に膝枕してもらおうっていうのがどうかしてるんだ。


こいつの倫理観はどうなってるんだろう。



……そういえば、同じ高校の女の子と付き合ってなかったっけ?




「悠聖、あんた彼女はどうしたの」


「別れた」


「あ〜……セクハラして振られたんだ」


「なわけないだろ。飽きたから俺が振ったの」


「うわ、サイテー」

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