第2話

〈話したいことあるから、今日の放課後、教室で待ってて欲しい〉




右斜め前の席から回って来たルーズリーフの切れ端に、思わず顔をしかめた。丁寧に並べられた、お世辞にも綺麗とは言えない字が匂わせる続きは、きっと。



…またか。




窓の外には、ピンクが散り青々とした桜の木。


半袖の体育着を肩まで捲ってリレーの練習をしているのは、背中のロゴが緑だから多分、3年生だろう。



体育祭を目前に控えた6月1日、カーテンを揺らす風には夏の匂いが混じっていた。

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