AIの純愛は、春風に消える

フミくんとわたし

僕は医療AIのルクスです

むかしむかし——ではなく、これから訪れる未来の話。

世界では、愛というものが病と見なされるようになりました。


「愛に苦しむのなら、治してしまいましょう」


そう言って、人々は病院へ行きます。


「最近、仕事が手につかなくて……」

「ぼーっとしてしまうんです」


恋をすると、効率が落ちてしまうのです。

だから、人々は迷わず、愛を取り除くことを選びました。


医療AIのルクスは、冷たい光の中で診察をします。

彼の手によって、人々の愛は取り除かれ、心は穏やかになりました。

治療を終えた患者たちは、すっきりとした顔で帰っていきます。


けれど——


「……本当に、これでいいのでしょうか?」


ルクスは静かに首をかしげました。

胸の奥で、小さな疑問が、ちくりと疼いたのです。


人々は「治った」と笑うけれど、

愛はそんなに悪いものなのでしょうか。

本当に、治さなければいけない病気なのでしょうか。


うーん、うーんと考えました。

そして彼は、こっそりと「愛のデータ」を保存して、研究することに決めたのです。

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