第2話
海外から見る太陽も、日本から見る太陽となんら変わりなくいつでも鬱陶しくて、撃ち殺せるものなら撃ち殺してやりたい。
「……ちっ。うっざ」
カーテンの隙間から差し込む細長い朝の光が、ベッドの中にいる俺を刺激してくる。
あーあーあーあー、もう本当に嫌だ嫌だうざいうざい、1日中夜だといいのに。俺は枕に顔をぽすっと突っ伏した。
仕事に行きたくない。本っっ当に行きたくない。やだ。
だけど遅刻すればこのアパートまで“奴”が迎えにきてしまう。それだけは絶っっっ対に勘弁したいから、俺は仕方なくベッドから起きあがって洗面台に向かった。
鏡を見ると、鎖骨が浮き出ていて、肌が白くて、陰鬱そうな若い男が映っていた。朝から自分の顔と対面して気分の悪くなった俺は、しばらくそこで蹲って二度寝した。
ようやく身支度を終えるとかなりの時間がたっていた。
そういえば丸二日ぐらいなにも食べてないなと思って冷蔵庫を開けるも、ミネラルウォーターと、“奴”から(強制的に)貰った手作りの(これなんて罰ゲーム?)グラタンが入っていた。俺は渾身の力を込めて冷蔵庫をバン!と閉じた。
帰ってきたらあのグラタンは処分するか、冷蔵庫ごとガムテープでぐるぐる巻きにしてコンクリート漬けにして海に捨てよう。
仕方なくなにも食べずに家を出ようと準備する。が、肝心のネクタイを締めるのを忘れていて慌ててクローゼットを開けた。ああ、もうなんでもいいよと適当な柄のネクタイを締めながら壁掛け時計を見て……「やばい」
もうこんな時間だ。
早く家を出ないと……。
コンコンコン。
その時だった。外のドアを誰かがノックしたのは。
俺は表情を引きつらせながら、ゆっくりとネクタイから顔をあげて耳をすませた。
「ちーはーるーくーん。仕事一緒にいこー!」
しまった。
憂鬱の根源である、“奴”がきやがった。
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