電話鑑定物語「美帆と直樹の愛の行方」
美帆(みほ)は29歳。6年間付き合ってきた社内恋愛の相手、直樹(なおき)との関係は、結婚を視野に入れた深いものであり、いよいよ結婚を控えたある日、彼女の母親が突然倒れてしまった。慌ただしく病院へ駆けつけ、看病に追われる毎日。その最中、直樹に下された他県への赴任命令。美帆は泣きながら、そして決断に心を痛めながら、別れを告げた。
直樹は未練が残り、胸の中で葛藤を抱えていた。彼の心は引き裂かれていたが、無力感に苛まれ、仕事に打ち込むことでその痛みを紛らわせていた。それでも、美帆との思い出が消えることはなかった。
一方、美帆の母親は少しずつ回復しつつあったが、依然として完全に回復するには時間が必要で、まだサポートを必要としていた。美帆も心身共に疲れ果て、あの別れの決断が正しかったのか、今でも心に深い傷を抱えたままだった。
そんなある日、美帆は耳にすることになる。直樹が「結婚する」と聞いたのだ。美帆の胸に冷たい波が押し寄せた。まさか、もう新しい人生を歩み始めたのだろうか?
情報が曖昧で、混乱する美帆。直樹の「結婚」の話がどうしても気になり、胸が張り裂けそうだった。そんな中、美帆は電話鑑定師の**史家仮名太(しか たかなた)**に電話をかける決心をした。
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電話鑑定開始
「こんにちは、史家仮名太です。どんなお悩みでしょうか?」
美帆は深呼吸をしてから、ゆっくりと話し始めた。
「直樹と6年間付き合っていて、結婚も間近だったのですが、私の母が倒れてしまい、私は看病のために別れることを決意しました。その後、直樹が結婚するという話を聞いて…。でも、その情報が正しいかどうかもわからなくて…。」
史家仮名太は少し間を置いた後、優しい声で答えた。
「なるほど…お母さんの看病という重大な理由での別れですから、仕方がなかったとはいえ、今でもその決断が心に残っているんですね。直樹さんの結婚話について、あなたが感じている不安や疑念がとても伝わります。少しカードを引いてみましょう。」
カードを切る音が電話越しに聞こえる。史家仮名太はカードを読み解き始めた。
「直樹さんの現状を見てみますね…」と、まずは直樹の心の中にある感情を探り始める。
『ワンドの3 正位置』
「直樹さん、あなたにとっては本当に大きな決断だったことがわかります。別れた理由に納得しているわけではないですが、仕事と新しい環境に適応しようとしている。それでも、心の中であなたのことをまだ引きずっているというのが感じられます。」
美帆は少しほっとした様子だった。
「でも…結婚するって、本当に…?」
史家仮名太はしっかりとカードを読み返す。
「それは、あくまで間違った情報ですね。直樹さん、実際には結婚していませんよ。ただ、彼はもう一度同じ傷を負いたくないと思っているようです。あなたとの別れが心に深く残っていて、同じような痛みを他の人には与えたくないという強い思いがあるようです。」
美帆は涙ぐんだ。
「だからこそ、彼が素っ気なく接しているのは、あなたを傷つけたくないという優しさから来ているのだと思います。」
史家仮名太はカードをもう一度引いた。
『カップの2 逆位置』
「彼の心の整理がまだついていないことが伺えます。未練はあるけれども、あなたに再び傷つけられることを恐れている。だから、積極的に関係を進めようとはしていません。」
美帆はしばらく黙っていた。
「私、彼と再び会えるのでしょうか?もう一度やり直すことは…?」
史家仮名太は深く息を吸い、そして静かに答えた。
「直樹さんの心が整理できていない今は、焦らずに時間をかけるべきです。あなたが彼に対して期待をかけすぎない方が、どちらにとっても良い結果を生むでしょう。しかし、未来においては、再びチャンスが巡ってくる可能性は十分にあります。」
『ワンドのエース 正位置』
「このカードは新しい始まりを示唆していますが、少しの間は彼の心の整理を待ってあげてください。あなたが心の中で彼との関係を清算し、今後どう進むべきかを考える時間が必要です。」
美帆は静かにうなずき、深いため息をついた。
「ありがとうございます…少し心が軽くなりました。焦らずに待つべきなんですね。」
「はい、焦らず、あなた自身の心の中で整理をつけることが大切です。時間が経つことで、直樹さんの心の迷いも解消され、再び歩み寄る日が来るかもしれません。」
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鑑定が終わり、美帆は心にひと筋の光が差し込んだような気持ちになった。直樹の心はまだ自分に向いている、けれど今はお互いに時間が必要だ。焦らず、自分の人生をしっかりと歩みながら、彼の心が整理されるのを待とう。
美帆は再び心を強く持って、前を向いて歩き始めた。
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