ラナンキュラスの餞

星々世々

アリスの世界

第1話 目覚め

 今朝は、静寂の中、右手の違和感で起きることを余儀なくされた。



 寝起きが悪いので、目覚まし時計を二つ使っている。

枕元にスマホ、ベットの縁にアナログ時計。アナログ方が先に鳴り、先に手を伸ばす。

二度寝防止に、スマホのアラームが鳴る。

苛立ちながら気合いで起きる。


ここまでがいつものルーティン。


 いつものように時計に手を伸ばした。カチッと音がして止まるはずなのに音がしない。アラームは止まっている。

寝惚けた頭で故障?と思いつつ、時計から手を退けようとする。


 

 右手に何か粘土のような質感を感じ、手を止めた



齢15で粘土遊びなんかしないし、ベットに置いておくわけもない。


まず我が家に粘土がない。



「粘土ではないのか、なら安心。」とはならない。


いくら寝惚けていてもそうはならない。じゃあこれは何なんだ。

粘土にしては液体っぽさもあるし冷たくも温かくもない。

感じる質感にもムラがある。


まさか生き物!?


いやだとしたら体温がなさすぎるし怖すぎる。

体温が低くてねっちょりした生き物とか?何それめっちゃ嫌!



 状況を整理してみよう。

まず、うちに生き物はいないはず。

その上手でがっしり掴めるサイズ感で柔らかい、スライム的な質感と液体らしさを混在させた常温のもの、、?が右手に触れている。

匂いや音もない。

本当に何が起きているんだ??



 ここまで考えた時点でもう目は冴えに冴えた。


これは手を離してもいいものだろうか。

起き上がって見たら何があるのだろう。


怖くて見たくないが出勤の時間は迫るばかりだし、手をつけっぱなしにするのも嫌だ。


 どうしようもないから恐る恐る手を離してみる。


謎の物体は何の抵抗もせず、右手が視界に戻ってきた。

おかえり!!

すごい変なテンションになってきた!!

何かがまとわりついた様子もなく、いつもの右手だ。頭上からは変な音とかもしない。


本当に何なんだ?


恐る恐る体を起こし、さっき手があった位置に目を向けると、

 


「え、、?」



目覚まし時計が、融けていた

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