第6話 駆けろ
……あれは夢だったのか?
呆然としていると、俺の服の裾を誰かが引っ張った。
そちらを見ると、カラドリウスが俺を見つめていた。その目には不安の色が浮かんでいた。そんなカラドリウスの頭を撫でると、嬉しそうに鳴いた。
「カラドリウス、力を貸してくれるか?」
そう問うと、カラドリウスは「キュイ!」と鳴く。
そして、自分の背中を俺に向けてきた。
……乗れ、ということなのだろうか?
「ありがとう」
俺はカラドリウスの背中に乗ると、風のように走り出したのだった……。
風を切るような速さでカラドリウスが森を駆け抜けていく。
その速さは、まるで風そのものようで、周りの景色が一瞬で変わっていく。
「すごいな……」
思わず感嘆の声を漏らす。すると、カラドリウスが大きな声で鳴いた。その声に共鳴するように、集落の周りから同じような鳴き声が響いてくる。
……これは一体?
疑問を抱いていると、集落の方角からカラドリウスの群れがこちらへ向かってきているのが見えた。
「キュイ! キュイ!」
カラドリウスは俺に向かって何かを訴えるように鳴いていた。
すると、群れの中から一際大きな個体が姿を現した。その個体は他の個体とは違い、威厳を纏い神々しさを感じさせる雰囲気を纏っている。
「あれが……、リーダーなのか」
そんな俺の疑問に答えるように、カラドリウスが鳴いた。
……なるほどな。この群れのボスということか。すると、群れのボスはカラドリウスに何かを語りかける。
「キュイ!」
それに呼応するようにカラドリウスが鳴くと、群れのボスは俺に向かって鳴いた。そして、群れを率いて集落へと走っていく。
俺は背中に乗せられながらその軍勢と並走する。
そして、カロンやアトラ達が戦っている場所まで辿り着いた。惨状は、想像を絶するもので……、その中心にはカロンやアトラ達が倒れていた。
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