第4話 テイマー、覚醒


 泊めてもらっていた家に戻ると、家の外にカラドリウスが待っていた。


「キュイ!」


 俺を見るなり、嬉しそうに鳴きながら近づいてくる。頭を撫でてやると、カラドリウスは目を細めて擦り寄ってくる。


 ……しかし、大丈夫なんだろうか。


 あの後、森の外からは怒号や魔獣の唸り声と思わしき声が聞こえてきた。戦いが起きているのは確かだろう。

 そんなことを考えていると、カラドリウスが心配そうに近づいてきた。


「キュイ! キュイ!」

「……大丈夫だよ、きっと帰ってくる」


 そんな俺の言葉を理解したのかしていないのか、カラドリウスは俺の頬をぺろぺろと舐めてくるのだった……。


 そして、カラドリウスは俺の服の裾を引っ張ると、まるでどこかに案内するように森の奥へと歩みを進めていった。


「キュイ! キュイ!」


 進む方角を見ると、そこには大きな樹木があった。

 その樹木は天に向かって高く伸び、幹も太く、まるで森の主のような風格を醸し出している。


「キュイ! キュイ!」


 カラドリウスは、その樹木の前まで行くと俺に向かって鳴く。

 俺はカラドリウスに促されるまま、樹木に近づいていく。そして、カラドリウスが見つめる、大きな幹に触れると……。


 ――我に力を授けよ。


 脳にそんな言葉が響いてくる。

 

 ――我に力を授けよ。


 再び、そんな言葉が頭に響き渡った。その言葉に反応するように、樹木の幹の一部が光り始める。

 俺は、その幹に手を触れ、目を瞑った。


 ……すると、何かが伝わってくるような気がした。


 手に力を込めると、それに呼応するかのように光り出す。そして、目を開けてみると、樹木の幹は黄金に輝いていた。


 ――目覚めよ、神々が認めし「テイマー」よ。


「―――――っ!?」


 頭の中にそんな声が響くと同時に手の甲に紋章が刻まれる。その紋章は、神々しい光を纏い輝いていた。その光は俺とカラドリウスを包み込んだ。

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