第28話
「よいしょっと」
鍋を囲炉裏部屋に運んでいたハクは、いつのまにか来た美花穂がコップを並べているのに気がついたが、無言で横を通りすぎた。
「ハク。ごめんね」
ハクは、何も答えず天井の柱から伸びる自在鉤に鉄器鍋の取ってをかけた。
そして鍋によく当たるように炭の火を、かきたてる。
「ちょっと体調悪い時に鴨とか見たから。生々しくて怖くなったの」
「そうですか?私が龍だと気がついたから怖くなったのではないですか?」
ハクは背中を向けたまま言う。
美花穂はその背中にそっと抱きついた。
「ごめんね。ハク」
優しく柔らかな温もりが、背中からハクを包み込む。
・・・・・・かなわないな。
ハクはため息をつくと腰に回された美花穂の手を握った。
そのまま振り向き、美花穂の身体を抱きしめた。額にひんやりとした唇を当てる。
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