男性専門産科病院~こいつが俺が産んだ赤ちゃん・・?~
スナムー
第1章 1話 何故俺が・・
「陽性・・?」
俺は自宅のトイレで妊娠検査薬を眺めていた。
「嘘だろ・・なんで俺が・・。」
衝撃で頭が押しつぶされそうになり、かけていたメガネがずれ落ちそうになった。
するとトイレのノックオンが聞こえた。
「おーい、康介。腹でも痛いのかー?」
俺の名前を呼ぶのは、友人の隆也だった。お互いの親同士が仲が良く、この日も彼は俺の家に泊まっていた。
「だ、大丈夫だよ・・隆也・・。」
俺はゆっくりと扉を開け作り笑顔で答えたが、隆也はじっと俺を見つめ顔を近づけた。
「本当に?俺に何か隠してないか?」
ギクッ!!
突然隆也の顔が接近し、俺は思わず身震いをしたが「何も隠してないよ!俺が今までお前に隠し事なんてなかっただろ?」
必死に言い訳をしてしまった。
「そ?ならいいけど。早く支度しないと学校遅刻するぞ。」
「あ、あぁ。今行くよ」
俺はポケットに検査薬を隠し、部屋にある机の引き出しに隠した。
俺たちは幼馴染でもあり、保育園の頃から毎日一緒に登校している。
「隆也くん!おはよ!」
「おぅ!おはよう!」
隆也は、見た目はチャラく金髪でピアスも開けているが学校の人気者で、男女問わず愛されている。隣にいる俺の事は誰も見向きもしない。
「隆也は凄いよな・・誰からも愛されて頼られてうらやましいよ・・。俺は人見知りだし体も小さくて誰からも頼りにされない・・」
俺はメガネを指で直し、俯いてボソッと呟いた。
そのことに気が付いた隆也は俺の肩を組み
「なーに言ってんだよ!お前は誰にでも優しいし、勉強だっていつも成績トップじゃねえか!俺はそんなお前の事尊敬してるぞ!」
彼の笑顔をみて思わず赤面してしまった。
「なっ!何言ってんだよ!もぅ・・。」
おれは鞄を持ち直し、早歩きですたこら先に行ってしまった。
今日の午前中は特別授業で外部から講師がやってきた。
「初めまして。産科医の瑠奈と申します。よろしく。」
目の前に現れたのは、一言でいうと黒髪美女だった。髪は腰くらいまで長く艶があり、顔立ち良く瞳は綺麗な黒だった。すらっとした体系に白衣を身にまとい凛としていた。
教室は男子だけではなく女子も思わず見惚れていた。
俺は隆也の姿をちらっと見た。すると彼の頬が赤く染まり、その姿は一目惚れをしたような様子だった。
「隆也・・。」
俺は俯き、胸が苦しかった。
「今日は君たちに命の授業を受けてもらう。ニュースを見ている奴なら知っていると思うが、最近女性よりも男性の妊娠出産を経験している人が増えてきた。ある調査によると約3割が男子学生で望まない妊娠出産をしていることが分かった。そこでだ、君たちに男女関係なく避妊方法と、もし妊娠した時にはどうしたらいいのかを教える。少しセンシティブな話もするが、決してエロい話ではないからな。」
俺はその言葉を聞きドキッとした。
周りの生徒を見渡すと興味がある人もいれば、あくびをしてつまらなさそうにしている人もいた。
隆也は・・って今は彼の事が見れない・・。
俺は瑠奈という医者の話を真剣に聞きメモをしていた。
「・・・はい、ここまでが避妊するうえで正しい知識だ。君たちはこれから異性や同性を愛し、セックスをするときがくる。だが、一歩間違えれば相手の運命を大きく変えてしまう。妊娠を望まないのであれば避妊は絶対にするように。」
彼女の授業は分かりやすく、そして心に響く言葉ばかりだった。
「そして、万が一妊娠してしまったら包み隠さず医師に相談することだ。隠していても、お腹に宿った命は成長し場合によっては自分の命も落とすことも考えられる。恥ずかしがることは何一つない。妊婦とその家族を支えるのが私たち産科医の仕事だからな。」
俺は思わず泣きそうになった。今朝起きた出来事から、ものすごく不安だったがここで一気に救われたような気がした。
昼休みになり、俺は勇気を出して瑠奈がいる保健室に行こうとした。すると、隆也が話しかけてきた。
「康介、どこ行くんだよ?」
俺は思わず立ち止まった。
「べっ別に・・トイレ行くだけだし・・」
俺はボソッと呟いた。
「便所か?ならオレも行くー。」
俺は驚き、メガネを掛け直すふりをした。
小便器の前に立ち、用を足していた。
「さっきの医者、すっげぇ美人だったなぁ・・。」
「そ、そうだね・・。」
「なぁ、さっきの授業・・お前はどう思う?」
隆也の言葉に一瞬固まった。
「えっなんで?」
「オレさ、もし誰かを妊娠させたら責任持てないなーって思ってさ。もちろん大人になって社会人になってからは別だぞ?けど、今の俺たちの年齢で妊娠とか考えられねぇわ・・。」
俺は隆也の言葉が刃物のように刺され苦しくなった。
「そ、そうだね・・。」
俺は手を洗いハンカチで手を拭った。
「康介はどう思う?自分の相手が、今突然妊娠していたら?」
「俺は・・そんなこと考えたことないよ・・。」
俺はそっけない態度をとり、彼の顔が見れなかった。
「俺、先に教室戻るね・・。」
そういい、トイレを後にした。
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