『猫又の旅』〜影との生活〜

つきの月

第1話 孤独を分かつ、猫2匹



ある夜の事、二尾の黒猫が一匹


 松の木の下で、星を眺めていた、、、






 星冴えて 冬の空高く 輝きて


      我が身ひとりて 夜の寒さかな










 飼い主を看取り、寂しさからか、その子孫を愛で


 幾度となる年月を知り、千年、、


 末代までもが、旅に出た


 いっそ死のうとしたのだけれど、死ねぬ身体は


 涙を流すことばかり、食うに困らぬ今生は


 逝った家族を思い出し、苦しむばかり



 神よ、ことわりよ、この生の意味を教えてはくれまいか


 私程の、苦しみを分かつ、誰かはおるまいか





 《は〜い! それでは〜っ! 別世界にご案内!》


 何やら、聴こえたが、、うつけのような、、


 《うつけとは失礼な 理さんだよっ!》


 理とは、このように五月蝿いものかね


 《可哀想で見てられないからさ! 別世界で自由に生きるといいさ! んじゃ! 行ってらっしゃ〜い!》


 女児とも男児とも違う、なんとも奇妙な声だ、、、


 瞬きをすれば、そこは、見知らぬ大地が広がっていた






 「おや? どこだい ここは」


 《ゴホンっ、、あ〜、、あの、、》





 「おや 何やら声が聴こえる、、いや気のせいか」


 《いや、、気のせいじゃあねぇんだわコレが》





 「おや? また聴こえるね」


 《アンタの身体の中に、俺が居る》





 「私の身体に?」


 《俺にも、よくわからねえんだが、、ここに来る時に、アンタと混ざったらしい》





 「混ざった、、とな?」


 《アンタ、理とか言うバカに連れて来られやしなかったか?》





 「ふむ あのうつけか」



 話によれば、コイツは


 『猫鬼びょうき』であり


 千年も前、何処かの呪術師に殺され


 呪と化し、人を呪い続け


 彷徨さまよっていた所


 理に転生の機会を与えられ


 今に至るという。






 1つの身体に、魂が2つ、、、。






 「なるほど、お互い、妙な事になったね」


 《ああ、、でも、、誰かと話すのは、久しぶりなもんで、なんかこう、、俺としちゃあ嫌な心持ちではねえんだ、、》




 「ふふっ、、たしかにそうかも知れないね、私も悪い心持ちはしない、、粋な計らいなのかも知れないね」






 私達は、この見知らぬ土地を旅して渡った


 この世界は、西洋のような外観をしている


 そして、奇妙な光景が続いている。




 人間の見た目に似た生き物もいた。


 トカゲのような人、狼や猫のような人、巨大な人


 角の生えた人、など、亜人とでも呼ぼうか、、


 数え切れぬ程の亜人がいた。




 我々が知る人間も居るには居るが、、


 何やら不思議な術で亜人共を縛り、鎖で繋いでいる


 人間の王国に来てみれば、どこもこのような景色だ


 疫病が流行れば、医学の研鑽を諦め、子供でも殺す


 民が飢えても気にせず、税を上げ、戦を起こす


 そんな王の我儘を、恐怖心から、民は許す


 人種が違う者を奴隷にし、いたずらに生命を奪う


 ああ、なんともおぞましい世界だ、、


 私達は、そんな光景を見ながら、今日も寝床を探す。







  冬の野に 二尾と影とが 寄り添ひて



       寂しき風を 分かち旅立つ


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