第8話 ヒーローは遅れてやってくる②

 空き教室にて、一人取り残されたサヤカは膝を抱え込む。


 「はぁー私足手纏いなのかなー」


 囮になって戦っているだろう親友を意識する。


 「いや今はそんな事どうでもいい、どうにか助けを呼ば無いと」


 サヤカは決意を固め立ち上がると、壁をコンコンと鳴らす。



 「でもこの壁異様に硬いしどうしたら........」


 「ん?」


 壁に耳をつけると教室の外から声が聞こえる。





 「ここからホノカの魔力を感じる」


 レンは防御魔法がかけられた壁を触る。



 「お前、この壁ぶち抜け」


 「よーし、 てバカここ学校だぞ? やるなら自分でやれよ」



 「駄目だ、もしもの時のため魔力を温存しておきたい、それにお前ホノカに謝りに来たんだろ?」


 「あーもう、やりゃいいんだろ」


 レンに半ば強制的に説得されると、ハルキは肩を回し始める。


 

 「ふぅー」


 ハルキは拳に魔力を集中させる。




 「オラああああ」


 ドゴォォーン


 壁を破り拳から教室へと入っていくハルキは、少女と目が合う


 「あ?」


 「ヒヤアアアアア」




 「ちっ、ハズレだ! 驚かしてすまなかったな」


 ハルキは辺りを見回し引き返そうとする。



 「待って!」


 サヤカはハルキの手を掴む。



  「何だ? 俺達今人探してるんだ、話なら後で ホゲっ」


 レンは穴から教室に入りながら、ハルキの口を塞ぐ。



 「君は確かホノカの友達のー」


 「レン先輩! サヤカです、そんな事よりホノカが......」


 サヤカは二人にこれまでの事を話す。





 「やべー事なったな」


 レンは額に手を当てながら魔力感知を始める。



 「急ぐぞ! 屋上からホノカの魔力を感じる」


 「あ、あたしも」


 「悪いけど庇ってる余裕は無い、自分の身は自分で守れるな」


 「うん!」

 

 「ハルキ! サヤカちゃん抱えて着いてこい」


 

 レンはそれだけ言うと全速力で走り出す。



 「あ、おい」

 

 レンはサヤカを背負うと慌てて着いていく。




 「どうしてそんな焦ってんだよ? お前の師匠だろ」


 「ホノカは確かに魔法の扱いに長けてる、だが魔力量はそこまで多いわけじゃ無いんだ。勿論俺とお前と比べればの話だがな」



 「だが今日は不審魔とお前とで既に魔力を消耗し過ぎてる、勝算なんてあるはず無いんだ」


 「な!?」

 


 「間に合ってくれよ!」


 レンは祈りながら速度を上げる。

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屋上にて


 「流石にキツイね、この魔力でここの魔素耐えんのは」


 ホノカは屋上の魔素に耐えられるだけの魔力を持っていない。魔力を操る技術の高さが屋上への活動を可能にするのだ、しかし今はほとんどの魔力を使い切ってしまい立っているのがやっとである。



 「ふぅー」


 ホノカは残りの魔力を手のひらに集中させる。


 「よかった」


 弱弱しい魔法が発動する。



 「これで確実にアンタを倒せるよ」


 「道連れにしてね」



 ホノカは目を瞑る。


 (まさかバカに助けられるとわね)


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化け物から逃げてる途中


 『アタシはただレンの友達に嫉妬して......』


 ホノカはレンがハルキと合わせた理由を思い出す。


 (そうか、初級魔法だ、あれなら少ない魔力でも打てる! それを屋上の魔素へと連鎖させれば・・・・・・)



(アタシは無事じゃ済まないだろうけど、コレでアイツを止められる)


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「短い人生だったなー、でも誰かの為に死ねるのも意外と悪く無いかもね」


 そう言いながらホノカは覚悟を決める。



 「爆発球!」


 作り出した球を魔素と同化させようとする。

 

 ホノカは今までの世界に感謝をする。





 ガシッ


 ホノカは手を掴まれ目を開くと、見慣れた顔があった。



 「はぁはぁ間に合った」


 「レン!」

 


 「オラッ」


 レンは爆発球を空へと蹴り飛ばす。




 「伏せろ!」


 レンはホノカを抱え ハルキはサヤカを抱え勢いよく伏せる。




 上空で大爆発が起こる。





 辺り一面を煙が覆う。





 「ゴホッゴホッ お前! やるなら先言っとけよ」


 「しょうがねーだろ、ゴホッゴホッ、これしか方法が無かったんだから」


  煙が晴れ始める。




 「よく一人で頑張ったな、やっぱ凄いよお前は」


 レンはホノカの肩に手を置き微笑みかける



 「だが悪いな、こっからは俺にやらせてくれ」


 レンはポキポキと指を鳴らすと化け物へと向かっていく




 「待てよ」


 ハルキはレンの肩を引っ張る。



 「俺達の間違いじゃねーのか」


 「バカくせにベタなセリフ使いやがって」


 レンはニヤッと笑う。


「足引っ張んじゃねーぞ?」

「当たり前だ!」


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