第10話 麦ちゃん、爆食! 魚
寿司屋に着くと、今度は、カウンター席なら並ばずに、座れるということでした。
「もともと、カウンター席に座るつもりだったから、お願いします。」
と、麦ちゃんが言いました。
受付の女性の方が、カウンター席へ案内してくれました。
右側から宮城君、麦ちゃん、そして私の順番で座りました。
板前さんが、
「何から握りますか?」と聞いてきました。
麦ちゃんが、
「今日のお薦めは、ありますか。」と尋ねました。
「キンメダイがお薦めですね。」
「じゃ、ひとり二貫ずつ、握ってください。」と、頼みました。
そして、小声で、
「沙苗ちゃん、何でも頼んでいいよ。」
「そして、ゆっくり食べてね。」
「もしお腹いっぱいで、食べることができなくなっても、私が、代わりに食べるから、遠慮なく注文してね。」
「私と翔が、食べ終わるのを待っていると、大変だからね。」
と、言ってくれました。
「わかりました。注文します。残してしまったら、よろしくお願いします。」
私は、この二人についていけるか、とても不安になってきました。
注文したキンメダイが来る前に、麦ちゃんは、次の注文をしました。
「大トロ、2巻ずつ、3つお願いします。」
「大トロ、2巻ずつ、3つ、いっちょ!」
と、元気よく板前さんが、声を上げました。
更に、
「沙苗ちゃん、生うには、大丈夫?」
「はい、大丈夫です。ただ、食べることができるか、どうか。」
「大丈夫。お腹いっぱいになったら、話した通り私が食べるから。」
「生うに、2巻ずつ、3つお願いします。」
キンメダイの握りが、来ました。私は、キンメダイの握りを初めて食べたような気がしました。
白身で、ぷりぷりしてとてもおいしかったです。
また、麦ちゃんが、
「今度は、
と、注文を続けました。
私は、麦ちゃんの胃は、いったいどうなっているのだろうと思い始めました。
私は、途中で分かってしまいました。
麦ちゃんが、注文している寿司のネタは、目の前にある、看板メニューの左側から順番に、注文していることに。
板前さんが、
「お子さんたちも、お母さんも良く食べるね。こんな美人がこんなに食べるの、俺は初めて見たよ!食べっぷりがいいよね!」
宮城君が、麦ちゃんを指さして、
「すいません、この人、おばあちゃんです。」
「えっ!こんな、若くて、綺麗な人がおばあさん、お孫さんたち、幸せだね。」
「板前さん、正直者ですね。」
と、麦ちゃんは言ったので、みんな笑顔になりました。
私は、麦ちゃんの孫ではないので、小さい声で、
「麦ちゃん、私は、麦ちゃんの孫ではないけどいいんですか。」
と、言うと
「いいよ、沙苗ちゃんは。孫で。いい子だから。直すのも面倒くさいさ。」
麦ちゃんは、とっても大らかなんです。
私は、更に麦ちゃんのことが好きになりました。
いよいよ、巻物に来ました。
麦ちゃんが、かっぱ巻きを注文した時です。
板前さんが、
「あれ、納豆巻は注文しないの?」
「私、納豆だめなんです。健康にいいって、分かっているんですけどね。」
「いや、びっくりしたな、苦手なものがあるとは。」
と、笑っていました。
「お孫さんたちも、苦手なの?」
宮城君は、
「僕も、納豆はだめなんです。」
と、答えていました。
私は、納豆は好きなんですが、もうお腹がいっぱいだったので、ただ、うなずきました。
いよいよ、かっぱ巻きで、左端から右端まで全部のネタを食べてしまいまいした。
板前さんも気が付いていたらしく
「すごいね!コンプリートだね!」
結局私が食べたのは、大トロ、生うに、活あわび、赤身マグロ、卵だけでした。
ほかの寿司は、全部、麦ちゃんが食べてくれました。
板前さんが、
「もし、まだ食べるなら、大トロの炙りはどう?」
と、言ってくれました。
麦ちゃんは、
「それでは、大トロの炙りをください。同じように、2巻ずつ3人に。」
「あいよ!」
と言って、握ってくれました。
大トロの炙りを食べ終わると、
麦ちゃんが
「これで、終わりにしましょうね。」
と、言いました。
板前さんが、元気な声で
「カウンター席のお客様、おあいそ!」
そして、
「また、来てくださいね!」
と、言ってくれました。
麦ちゃんが、いいました。
「私、沖縄から来ているから、羽田空港に来た時には、来るようにしますね。おいしかったです。ありがとうございました。」
宮城君も私も、
「ごちそうさまでした。」
と、言いました。
会計では、受付の女性の方が、私たち3人を見て、驚いていました。
かなりの金額になっているのかも、知れません。
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