第8話 おばぁが来た! その③

 宮城君のおばあさんが、

 「翔、お腹空いたさ。なにか食べに行こう。」

 と、言うと、宮城君が

 「おばぁ、その前に、荷物をコインロッカーに預けようよ。」

 「それ、いい考えさ。じゃ、急ごう、お腹空いているわけさ。」

 「そうだね。おばぁ、急ごうね」

 

 今日は、土曜日だったので、空いているコインロッカーがなかなか見つかりませんでした。特に、大きな荷物を預けるコインロッカーは、すべて使用中でした。

 

 「翔、もしかして、もっと下の階にもあるんじゃない?」

 宮城君がスマホで検索すると、駅のある地下階にも、コインロッカーがあることが、分かりました。

 

 「さすが、おばぁ、感がいい。」

 「そうさ。」

 そういって、宮城君のおばあさんは、私にウィンクをしました。

 

 やっぱり、宮城君のおばあさんは綺麗な人です。身長も高いし、姿勢も良くて、立っているだけで目立ちます。

 なにか、独特なオーラのようなものがあります。

 

 私たちは、エレベーターで地下に降りていくことにしました。

 エレベーターは、混んでいました。私たちが入ると、ほぼ満員でした。

 

 その中でも、女性では宮城君のおばあさんが断然に身長がありました、男性でも同じくらいの人が一人ぐらいしかいなかったと思います。

 

 20代ぐらいの女性の人は、入ってくる宮城君のおばあさんを見て、びっくりしていましたが、更に顔をみて、目があって、赤くなって、うつむいていました。

 途中で、何人か降りて、そして新しく入ってきた人たちがいたのですが、宮城君のおばあさんの身長と顔を見て、顔を赤くする人が他にもいました。

 

 このエレベーターは、奥がガラス張りで透明になっていました。

 5歳ぐらいの男の子が、外を見たそうにしていました。

 

 宮城君のおばあさんが、

 「外、見たいでしょ、入っていいよ。」

 と、少し体をどけて、スペースを作って、その子を奥に行かせました。

 

 その子は、恥ずかしそうに、奥に行って、お母さんらしき女性をちらっと見てから、外を見始めました。

 その子のお母さんらしい女性は、

 「ありがとうございます。」

 と、丁寧にお礼を言っていました。

 

 宮城君のおばあさんは、優しくうなずきました。

 宮城君のおばあさんは、想像していた通り、かなり親切な人です。そしてかなり人懐っこい感じがします。

 

 地下一階について、コインロッカーの設置場所に行くと、すぐに空いているコインロッカーを見つけました。

 「おばぁ、コインロッカーあった。」

 「あぁ、いっぱい空いているね。」 

 

 宮城君は、一番大きなコインロッカーをあけて、そこに宮城君の持ってきたリュックと宮城君のおばあさんのトートバックを入れようとしました。

 

 宮城君のおばあさんが、

 「このバック、ユタの道具が入っているわけさ、だから別のロッカーがいいさ。」

 「分かったおばぁ。バックは別のロッカーに入れよう。」

 宮城君のおばあさんは、トートバックを上段のロッカーに入れました。

 

 そして、キャリーバックを軽々と持ち上げると、そのとなりのロッカーに入れました。

 

 宮城君が、ロッカーのカギを閉めると、宮城君のおばあさんが、

 「翔、お腹とても空いたさ。ご飯食べにいこう。」

 「そうだね、おばぁ、俺もだよ。」

 と、宮城君が、うれしそうに答えました。

 

 時計を見ると、まだ11時でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る