支える人々

支える人々

* 瀬藤加奈(せどう・かな) *

https://kakuyomu.jp/my/news/16818622170338560578

♀ 16歳(高2)

来歴・内面:

 ごく普通の家庭に生まれる。3歳の時、親の転勤で引っ越して、同じ日に坂本博幸と隣同士になったのが、彼女の運の尽きであった。

 自分自身が自転車に乗ることに対してはさほど関心はないものの、何かに取りつかれたように自転車に乗り続ける博幸からどうにも目を離せず、そばを離れることもできない日々を送り高校2年まで至った。幼稚園から小学校、中学までならまだしも、高校もなぜか同じ学校に進んで、しかもずっと同じクラス。「これは誰かの陰謀か」と、両人疑うほどの腐れ縁である。

 博之が競技の世界に身を投じるようになって、加奈も何かに引き寄せられるように「自転車選手・スポーツ選手のサポート」に熱中するようになる。むつかしい理屈をどうにも好きになれない博幸を科学的・理論的な面から支える、優秀な参謀役である。ただチームレイヴン(※本条悟の項参照)の他のメンバーからは、「理屈は正しいんだけど、どうも選手の気持ちが分かってない。やっぱり本人に自転車乗った経験がないから」と、やや評判が落ちる。ぴったり息が合うのは博幸ただひとりである。

 日常生活ではことあるごとに文句・喧嘩の絶えない博幸との関係だが、学校はじめ周囲からは「こいつらもう夫婦じゃん」と太鼓判を押されている。自覚がないのは当の本人たちばかりか。


* 本条悟(ほんじょう・さとる) *

https://kakuyomu.jp/my/news/16818622170338596597

♂ 44歳(競輪学校卒)

来歴・内面:

 若いころは将来を嘱望された競輪選手だったが、S級特進のかかったレースで落車事故に巻きこまれる。歩行にすら障害の残る大怪我を負い、選手生命を絶たれた。

 リハビリののち、競輪学校で身に付けた自転車整備技術と人脈を基に「本条サイクル」を興す。人当たりのいい性格と車種・客層を選り好みしない経営姿勢で地元にも受け入れられ、やがて本条サイクルの評判は確かなものとなった。

 商売が軌道に乗った時期と並行して、自転車チーム「チームレイヴン」を主宰。こちらも手広い運営方針が主にライトなファンライダーに受け入れられ、楽しく自転車に乗る層から、本気で競技を志す選手まで、質・量とも層の厚い構成となった。

 我が子のごとく目をかけている博幸はじめ、自転車に熱中する若者に目がなく、高価な機材を出血大サービスで譲ることもしばしばである。これでは経営が危ないと思われるだろうが、一方では純粋に趣味で自転車に乗る(というか集める)高年齢富裕層にマニアックでニッチでレアなアイテムを売りつけてはお値段も上乗せしているので、全体としてバランスは取れている。

 ただ、競技に対する姿勢は意外なほど厳しい。基本は課題も苦難も自力で乗り越えろという態度で、競技への姿勢に少しでも真剣さを欠いた選手を見限るのも早い。もっとも、いよいよ夢破れ「ふつうの人生」を歩むことを選んだ者に対しては、長年培ったコネクションを活かしてその後の人生を丁寧にケアする。甘さと厳しさ、優しさが絶妙なバランスで成立している、懐の広い指導者なのである。


* 川室陸(かわむろ・りく) *

https://kakuyomu.jp/my/news/16818622170338635902

♂ 16歳(高2)

来歴・内面:

 雛形輪の幼なじみ。選手だった母の影響か、それとも幼いころからの憧れだった輪の影響か、自らも自転車競技を志した。しかし小柄すぎる体格と押しの弱い性格などが災いして、選手としては部活のレギュラーになるのも難しいレベルである。

 体格面、体力面での制約がさほど厳しくないバイク・トライアルでは卓越した技術を持っているが、これも「上にはいくらでも上がいます」と自分の身の程を悟っているようである。

 高校進学を機に、自分自身よりも輪のサポートに軸足を置くようになった。自転車店&自転車工房で働く母を見てきたせいか、機材、競技に関する知識は豊富で、しかもアドバイスは的確である。また近年(※物語上の現在)普及してきたインターネットも積極的に活用し、世界の最新の情報を仕入れることに余念がない。

 輪への憧れは年月とともに恋愛感情へと発展しているが、なにしろ自分に自信が持てない性格で「うまく行かなくて、今までの関係が壊れてしまったらどうしよう」と一歩を踏み出せないままでいる。


* 川室望(かわむろ・のぞみ) *

https://kakuyomu.jp/my/news/16818622170338669480

♀ 41歳(高卒)

来歴・内面:

 川室家の大黒柱。若かりし頃は自らも自転車選手だったが、当時の女子競技界の実情もあり、そのキャリアは厳しい道のりだった。

 長子・陸の出産を機に現役引退。家業の自転車店&オーダーメイド自転車工房「アトリエ・パべ」を継ぎ、付随するクラブチーム「エキップ・パべ」の主宰も継いだ。

 自転車づくりにおいても指導者・助言者としても、自らの経験を踏まえた的確なポイントを押さえつつ、女性らしい細やかな気遣いも行き届いた、厳しくも優しさにあふれた女性である。

 さすがに川室母&妹までは「KAMIKAZE」本編には登場しないと思うが…。


* 川室海(かわむろ・うみ) *

https://kakuyomu.jp/my/news/16818622170338713315

♀ 12歳(中1)

来歴・内面:

 川室家のう〇こ製造機。なにか志を持つでもなく、とりあえず勉学に励むでもなく、もちろん家事手伝いをするでもなく、毎日をゆるく、できれば何か楽しいことがあればいいやとお気楽に過ごしている。

 自転車に乗るのには障害となる条件がことごとく揃っているにもかかわらず、自転車にこだわり続ける川室家と、そこに出入りする人々に対しては「マゾか」の一言で切って捨てる。

 どうしても人手が足りない時には強制的に「エキップ・パベ」のサポートに駆り出されるが、自転車をどうこうできるスキルはなにひとつ持ち合わせていないので雑用係が関の山である。本人、なにかを学び身に付けようという気もないのに、この待遇にはいっちょ前に文句を並べたてている。

 口癖は「チャリだりー。16になったら速攻原付めんきょ取る」。


* 川室空(かわむろ・そら) *

https://kakuyomu.jp/my/news/16818622170338759788

♀ 7歳(小2)

来歴・内面:

 川室家の末っ子。

 精進を重ねる母と兄を見習ってか、それとも自堕落な姉を反面教師としているのか、小学生なりに勉強に運動に、家事手伝いにと努力を惜しまないできた子である。

 自転車関連ではバイク・トライアルと一輪車、アルティメット・ホイール(※一輪車からさらにサドルとフレームを省いた、ホイールとペダルしかない乗り物)などのバランス系のスキルに秀でている。あくまで「小学生にしては」のレベルではあるけど。

「エキップ・パベ」のサポートにもちょくちょく首を突っこむ。小学生では戦力にならなさそうだが、彼女の場合チェーンを洗浄して油を差すくらいのことは言われなくてもやってくれる。あと炊き出しのお弁当もなかなかに美味かつ栄養バランスに優れている。

 あ、それと人生経験が少ないわりに、なかなかに鋭い戦術的アドバイスもしてくれる。

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