君に、らしくない恋をする

@rau_

Prologue

「あれ、高嶺先輩じゃない!?」


「朝から見られるとか超ラッキー!」


毎朝変わらない、この風景。

でも今日は、いつもより人が多いかも。

遅く来すぎちゃったかな。


「理央!」


女子にしては少し低いその声に、私は振り返る。


「どした、今日遅くね?いっつも下駄箱なんかで会わないのによー」


「ちょっと寝坊してね...おはよう、妃奈。」


「だーから、下の名前で呼ぶなっつってんだろ」


ため息をついて、少し不貞腐れるこの子は、宝城 妃奈ほうじょう ひな

ヤンキーのような口調をしながら、見た目はふわふわした可愛い女の子。

そのギャップにやられちゃう男の子がいるとかいないとか...。


「てか、今日も朝から随分と人気ですねー、理央さん」


「私こういうの苦手だって、よく分かってるでしょ!ほら、早く行くよ!」


「あ、ちょっと待って理央!」


そして私が、見た目はボーイッシュだけど中身はよわよわな高嶺 理央たかみね りお

何故か私は人気らしいけど、こういう雰囲気はすごく苦手。

声は全くかっこよくないので、こういう場では喋らないでいたら、寡黙イケメンというレッテルをいつの間にか貼られていた。


よわよわなボーイッシュと女子力高めヤンキー。

この2人はまだ知らなかった。

これからの自分たちの変化を__。

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