学園祭 6
2日目は文化祭。
私と楓と雪ちゃんの3人は行きたいところがいっぱいあるので、朝一でクラスのシフトに入っている。
私たちのクラスは今年、メイドカフェをすることになった。
男子が女装をしたいということでこんなことになったが、女子はあまり…というか全然乗り気ではなかった。
でも他にやりたいこともなく、メイドカフェになってしまったのだ。
早速、いろんな人がくる。
カフェなので一応料理を出すし、メイドカフェ特有の接客もする、…やりたい人は。
周りの目を盗みながら淡々と仕事をさぼる。
すると、外から聞き覚えのある声が。
「乃蒼ー!きたよー!」
『あぁ、昨日リレーで優勝されたお客様ではありませんか。』
「蓮、おめでとー。」
そう、蓮と一ノ瀬先輩が来てくれたのだ。
『楓、お客様だよー。』
この2人への接客は気が引けるので、楓を呼ぶが、
「えー、乃蒼に接客してほしいー。」
…このシスコン兄は何を言っているのか?
『お客さま、そのようなご希望でしたら受け付けておりません』
とびきりの営業スマイルで答える。
「俺も乃蒼ちゃんに接客して欲しいなぁ。」
うっ、一ノ瀬先輩まで…。
『わ、わかりました。こちらの席へどうぞ。メニューお決まりになりましたらお呼びください。』
…はぁ。一ノ瀬先輩に言われたらどうしようもないじゃん。
2人の注文を聞き、料理を運ぶ。
本当は蓮の食べるものにわさびのひとつでも入れてやろうかとも思ったが、先輩にも分けるらしいのでやめることにした。
『お待たせしました。いちごワッフルと抹茶パフェでございます。』
2人は目を輝かせる。
『では、ごゆっくり…』
「え、メイドカフェってなんかなかったっけ?」
蓮が急に変なことを言い出す。
「あー、料理に萌えをトッピングしてくれるやつ?」
…先輩まで何を??
『し、失礼します…』
「待って。」
グイっと一ノ瀬先輩に腕を掴まれる。
『せ、先輩っ。どうしまし…』
「乃蒼ちゃんがやるとこ、見たい。」
え、えええええええ!
急に変なことを言い出す先輩。
『恥ずかしいです。』
「ダメ?」
うっ。その目は反則でしょ。
『わかりました…。やります。』
「ありがと」
私は覚悟を決めて、メイドカフェ特有の接客をする。
『お、おかえりなさいませ。ご主人様…。』
2人の方を見ると、そっぽ向いている。
え、えー。なんで見てないの…。
「…もう一回。」
耳を赤くした先輩が言う。蓮も顔を赤くしてこっちを見る。
『絶対イヤです!失礼します!』
この時はまだ雪ちゃんに動画を回されていたなんて、思っても見なかった。
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