学園祭 3
午後は体育祭。
相変わらず私は準備に追われている。
実は、午前の前日祭のクイズ大会で1-1は準優勝という結果を残した。
優勝を逃してしまい、クラスの中には涙を流す子もいた。焼肉にみんなで行けなくなったのが、何より悔しかったらしい…。
でも私のクラスは最高だ。なんと担任の先生のおごりで焼肉は復活したのだ。
そして今に至るというわけだ。
私はバレー部のマネージャーなので、徳島先輩と一緒にコートの準備をする。
体育祭の種目の中にバレーがあるのだが、正直言って、全校が堂々とイケメンを見るために用意されているようなイベントなのだ。
そんなことを思いながらコートをセッティングしていく。
…やっぱりポール重いなぁ。
でもそう感じてるのは先輩も同じ。そう簡単に頼るわけにはいかない。
『乃蒼ちゃん〜。私ちょっと先生から体育祭用のバレーボールもらってくるね。』
『わかりましたー。』
おっと…体育館に1人になってしまった。
実はこの準備の裏では、サッカーの試合が行われている。
その前にはバスケの試合もあって、イケメンの秋元先輩は相変わらず女子の黄色い歓声を浴びていた。
『『『秋元先輩がんばれー!!』』』
「俺たち、この状況には負けたな…。」
観覧席の半分以上が女子だった。
この状況を見ていたバレー部のイケメンたちの顔を見ると、想像以上に青ざめていた。
いやいや、あなたたちの時もこんな感じになりますよ?わかってます?
そんなことを考えながら準備を進めていると、手元が軽くなり、持っていたはずのポールが急に姿を消した。
『えっ?』
びっくりして後ろを振り向くと、一ノ瀬先輩がいつのまにか重いポールを持ってくれていた。
「1人じゃ無理だと思ったら助けを呼ぶんでしょ?」
『先輩っ、どうしてここに…。』
てっきりイケメン枠でサッカーに出てると思っていた。
「手伝いに来たんだよ。」
『えっ。』
「あ、蓮も一緒だよ?」
『え、どこ…??』
周りを見渡しても、全く見当たらない。
「今は徳島の方を手伝いに行ってるよ。」
『そうなんですか、』
あぁ、そういうことか。雪ちゃんの話を聞いた後だからなのか、…疑い深い。
なんか申し訳ないなぁ。いつも助けてもらってるし。今日もかっこいいしな…。
そう思いながら一ノ瀬先輩を見る。すると、
「どうした?ボーっとして。俺の顔になんかついてる?」
と言って顔を目線の高さに合わせてくる。
⁉︎め、目の前にイケメンフェイス…!
私そんなに見つめてた?
『い、いえ。全然何でもないですっ!』
そんなことを話しながら準備を進める。やっぱり2人で用意した方が、何倍も早かった。
『やっと終わったぁー。』
「お疲れ様、乃蒼マネージャー。」
『手伝ってもらって本当に助かりました…。ありがとうございます。』
そこに徳島先輩と蓮も帰ってきた。
『乃蒼ちゃんありがとうー。』
「おぉ、おつかれ乃蒼〜。」
『お疲れ様です。』
んんん?
…なーんだか2人の様子がいつもと違うような気がする。いつもよりお互いの目線があっていない。いや合わせてない、の方が正しいかも…。
っまさか……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます