マネージャー初日? 蒼生side 1
蒼生side
今日から新しくマネージャーが入るらしいが、揉めているらしい。
そういう人を今日だけで3人は見ている。
今も、徳島と見たことない女の子が話しているのが見える。
…はぁ、毎年いるんだよな。
俺と蓮を見たいっていう不純な理由だけでマネージャーに志願してくるやつ。
しかも、自分が選ばれなかったからってわざわざ部活にまで押しかけてくる。本当に意味がわからない。
それを横目にメニューをこなしていく。入り口に目をやると女子たちがまたキャーキャー騒いでいる。
正直言って、女子に騒がれるのは全く嬉しくない。
俺はバレーをやりたくて、楽しみたくて、集中するために入ったっていうのに。
ああいう女子たちはサーブを打っただけで『蒼生くーん、かっこいー!』『きゃー、素敵!!』とか言ってくる。
あー、ホントにうるさい…。勘弁してくれよ。
てか、秋元の方見に行けば良いじゃん。あいつの方がイケメンでしょ…?
そんなことを思いながら心の中で毒付いていると、奥の方から1年生の女の子が入ってきた。
あ、あの子見たことある。一年の中でも可愛い子がいるって誰かが言ってた。
…あの子がマネージャーか?
俺の予感は的中した。
隣に立つチームメイトいわく、マネージャー志望の人たちの中で唯一のバレー経験者らしい。
…まぁ、どうせ俺たちを見たいだけだろ。
そんな軽い考えはすぐに打ち砕かれた。
あの子は俺らに見向きもせず、黙々と仕事をしている。
しかも必要なものはすでに準備されている。…すごい手際がいい。
あの子、次に何すればいいのか全てわかっているのか…?
用意してあったスポドリも飲んでみたら、案外ちょうどいい濃さだったし…。
しかも、さっき突き指したやつが
「おい、これ見ろよ。すごくねーか。」
って言ってテーピングされているところを見せてきた。
「あの子がやると全然痛くない上に、しっかり固定されて動かないんだ。しかも“どうすればこの指を守りながら、他の指に負担がいかないか”アドバイスしてくれてさ。」
…それはすごいな。
「そして極めつきには『あまり無理しないでくださいね。』って言ってくれたんだよ。俺、もう惚れたわ。」
惚れたかどうかはどうでもいいけど、巻かれていたテーピングは確かに上手く固定されていた。
周りのやつも感心してるようだ。
すると、今まで静かだった蓮が隣に来て
「あれが俺の妹。前にちょっとだけ話したことあるだろ?」
とコソっと耳打ちしてきた。蓮の顔はなんだかうれしそうだった。
あー、なんか似てるかも。
それからはちゃんと練習していたが、ちょっと話しかけてみたくなってきた。
そっと仕事中のあの子に近づいて、話しやすいようにかがんで声をかけた。
「マネージャーさんっ。」
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