ツンデレのツンが無くなったデレデレ幼馴染が可愛すぎる!?

水水

第1話 ツンデレからツンが無くなった!?

 俺こと咲間快斗さくまかいとの小学生からのの幼馴染、月読月夜つきよみつきよは生粋のツンデレだった。


 ツンとデレの比率、8∶2の黄金比を保つそのツンデレの破壊力と言ったら、もう半端ない。


 いつもは素っ気ない態度を取りつつも、バレンタインの日になったら


 「はい。チョコあげる‥‥‥。一応手作りだから。でも友チョコだから勘違いしないでよね!!」


 というような感じでチョコを貰えたりする。

 

 そんな彼女はツンデレであり、とても美人だ。

 整った鼻梁、長い睫毛、汚れを知らない透き通った肌、綺麗な黒髪ロング。そしてスタイル抜群な身体。

 全てがまるで造り物かのような綺麗さだ。

 

 見ているだけで目の保養になるそんな彼女は——大事なことだから何回も言う。ツンデレだ。



 

 今は昼休み。

 友達を学食に誘ったり、一緒に弁当を食べる人がちらほら出てきていた。


 そして俺はというと、唯一の友達と言って良い夏波愛斗かなみあいとが休みなため教室の角でボッチ飯だ。

 

 今いる席はくじ引きで決められた席な訳だが、自分の運の良さに惚れ惚れしてしまう。

 俺みたいな陰の者にとって後ろの角の席とは、陰の者を守る聖域サンクチュアリみたいなものだ。

 

 それを引き当ててしまうということは、やはり日頃の行いが————


 「ねぇ咲間。なんでそんな隅でご飯食べてんのよ。しかもそんな暗いオーラ出してたら教室で食べる昼食が不味くなるでしょ!」

 「うん、そうだな。すまん」

 「謝って欲しいんじゃなくて‥‥‥。私と屋上で食べましょう。一人で食べるより2人のほうがいいでしょ!」

 「いや、いいよ。俺は一人のほうが‥‥‥」

 「つべこべ言わない!!ほら来て!!」


 そう言って俺の袖を引っ張る月読。


 もう‥‥‥そんなに引っ張らなくてもいいだろ。

 そう思って前にいる彼女に目をやると、耳まで真っ赤になっていた————




 屋上についた俺達は、ベンチに座って昼食を食べ始めた。食べ始めたのだが‥‥


 「何でそんな栄養価の無いような物ばかり‥‥‥‥」


 俺の右手に握られていた、『10秒でエネルギーが補給できるゼリー』を見てから小言が始まった。


 「成長期である高校1年生がそんな栄養価の無いものばかり身体に入れてたら、健康上よくないでしょ!?何でそんなのばっかり食べてるのよ!」


 お前は俺のおかんか!とツッコみたくなるのをすんでのところで抑えつつ、理由を話す。


 「俺、高校入学と同時に一人暮らし始めたんだけど‥‥‥‥思ったより自炊が面倒くさくて。やっぱり親の存在って偉大だなって気づいたよ」

 

 そう言って苦笑する俺を横目に弁当を食べ進める月読は、まるで小動物のようにちまちまとご飯を食べ進める。


 こう見てると本当に美人だな。いや、いつもが美人じゃないとは言わないが‥‥‥‥

 なんて言うんだろうか。静かだと『清楚』な感じがして美人に思えると言うか‥‥‥


 『ツンデレ』は可愛いで、『清楚』は美人。そんなところだろう。


 そんな事を思いながら食べる姿をじっと見ていたら——


 「そんなにじろじろ見られたら食べづらいじゃない‥‥‥」

 「あぁ、すまんすまん。美人だと思ってな」

 「‥‥‥‥っ!? そんな口説いても意味ないからね!?」

 「いや‥‥‥。口説いたつもりないんだが‥‥‥」

 「じゃあそんな気もないのにそんな事を言ったってこと?それもそれで考えものね」


 そんな駄目なことなのか?まぁ、いっか。



 


 その後は他愛もない会話をしながら昼休みを2人で過ごした。

 会話の内容は最近の出来事などだ。


 そして今は5限目の授業中。俺は今、迫りくる強敵『睡魔』と戦っている。


 机に突っ伏し堂々と寝る輩もいる中で寝まいと一人、孤高に戦うのはさながら勇者のようだ———


 でも眠い。少しだけなら‥‥‥少しなら‥‥良いかな?

 睡魔に防壁を突破された俺は夢の世界へと誘われ‥‥‥‥ることは無かった。


 隣の席———月読月夜のせいで目が冴えてしまった。

 一体何をされたのかと言うと、端的に言えば椅子を少し蹴られた。

 眠くなり、働かなくなった身体に与えられた微弱な振動。

 でも意識外からの唐突な微弱な振動は、頭を冴えさせるには充分なものだった。

 

 

 びっくりした俺は右隣に目をやると、「なんで寝そうになってるのよ。しっかり起きなさい!」と言わんばかりの視線を向けられた。


 

 これでも善戦したほうなんだけどな‥‥‥。

 そんな思いは通じるはずもなく、淡々と授業は進んでいった。







 今は放課後。6限目の授業は根性で耐えきった。少しボーっとした時もあったけど、寝はしなかった。


 

 そして今、教室は楽しげな雰囲気で包まれている。

 

 「グラウンドまで一緒に行こう」

 「いいよ!」


 「今日さ、駅前に新しくできたカフェ行かない?」

 「いいね!私もそこ気になってた!!」



 そんな感じで教室のあちこちで、会話が繰り広げられている中。

 俺を呼ぶ声が聞こえた。


 「あの‥‥‥咲間君。今、時間ある?ちょっと屋上まで来てほしいんだけど‥‥‥」


 そう言ってきたのは、同級生である柏木花紗かしわぎはなさだった。


 何の用事だろう?皆目見当もつかないが、急いでるわけでも時間がないわけでもないから行くか。


 「うん。いいよ」


 二つ返事で了承した。




 

 屋上にて————


 「咲間君!!」

 「はい‥‥‥‥」

 「私と付き合ってください!!!」

 「‥‥‥‥えっ!?俺と!?」


 衝撃的だった。こんな冴えない陰キャに告白する人がいるなんて‥‥

 でも告白してくれたのは素直に嬉しい。今まで本気で告白されたことなんて1回もなかったし‥‥‥‥


 でも付き合えない。俺は相手の事を良く知らないし、何より俺は相手の事を異性として好きじゃない。

 それなのに二つ返事で「うん。いいよ」なんて軽々しく言ったら、相当な覚悟をして告白してくれた相手に失礼だろう。


 「君の気持ちはすごく嬉しい。でもごめん。付き合えない。本当にごめん」

 「‥‥‥‥はい。こちらこそごめんなさい」


 そう言ってバタバタと走り去ってしまった。


 相手には申し訳ないことしたな。でも軽々しく告白を受けるほうがもっと良くない。

 だからこれで良いんだ。


 そう自分に言い聞かせ家へと歩を進めた。



 

 丁度家に着いたとき月読からLIMEが来た。

 隣に住んでるんだから直接言いに来れば良いものを。


 「どれどれ‥‥‥えっ!?何で知ってんの??」


 LIMEの内容はこうだ—————


 『今日の放課後、同級生の女の子に告白されてたよね?』

 『え?何で知ってるの?』

 『その場にいたわけじゃないけど、屋上に来てって言ってたのが聞こえて‥‥‥もしかしたらそうなのかなって思ったから、聞いただけ。それで告白の結果なんだけど‥‥‥了承したの?』 

 『いや、してないよ。第一俺は異性として相手の事見てなかったし、それなのに付き合うのは相手に不誠実かなって思ったから』

 『そう。それが聞けたのなら良かった』


 その言葉を最後にLIMEは終わった。


 それにしても告白の結果を気にするなんて‥‥‥やっぱり先に彼女ができたら負けた気がするからかな‥‥‥まぁいいや。


 



 次の日。

 マンションのドアを開けて外に出れば、何と月読がいた。

 

 こんな朝からどうしたんだろうか?何か俺に用事でも————


 「おはよう咲間。 今日一緒に学校行こう」

 「うん?いいよ」


 いつもだったらバラバラに出ていたのに急にどうしたんだろう。



 

 その後も月読の奇行?が続いた。

 昼休み————


 「ねぇ咲間。今日も一緒にお昼食べない?」

 「分かった。どこで食べる?」

 「今日も屋上で食べよう!」

 「じゃあ行こうか」


 そこまでは何ら昨日と変わらなかった。

 昨日との確実な変化を感じたのは、この後だった。


 「咲間。今日もゼリーだけ?」

 「そうだけど‥‥‥」

 「はいっ。今日は咲間の為に弁当を作ってきたよ。何が好きかは分からなかったから、男の子が好きそうな唐揚げとか卵焼きとか色々入れてみた。もし美味しかったら、美味しいって言ってもらえると嬉しいな」

 「ありがとう。じゃあいただきます」


 そう言って弁当の蓋を開ければ。

 中には唐揚げ、卵焼き、ほうれん草のおひたし、その他にも様々な料理が入っていた。


 口に運べば————


 「うまっ」


 忖度無しに美味しい。

 唐揚げは衣がサクサク。卵焼きも少し甘めで俺の大好きな味付けだった。

 

 黙々と食べ進め、あっという間に完食した。


 「ごちそうさまでした。 月読、料理めっちゃ上手だな。本当においしかった。この弁当箱は俺が洗って今日中に渡すから、帰ったら家で待機してて」

 「こちらこそおいしく食べてくれてありがとう。もし迷惑じゃなければ今後も作りたいって思ってるんだけど‥‥‥良いかな?」

 「俺としては断る理由がないけど‥‥‥‥作るの大変じゃない?」

 「つくる量が1人分増えるだけだからそんなに変わらないかな?」

 「じゃあお願いしようかな‥‥‥もちろん材料費はちゃんと払うから」

 「分かった。じゃあ、今の内に好きなもの聞きたいんだけど良いかな?」

 「いいよ。俺が好きなのは—————」


 

 沢山俺が好きな食べ物を話した。

 その度に月読はメモをして忘れないようにしていた。


 「うん。咲間の好きな食べ物たくさん知れてよかった。明日からは咲間の好きなもの入れるから楽しみにしててね!」


 ‥‥‥‥今更なんだけど、ツン消えてない?


 デレとまではいかないけど、ツンデレ8∶2が、ツン0になった————俺の気のせい?


 

–––––––––––––––––––––––––––––––––––


 文を変えさせて頂きました。


 告白されたことなんて、から、「本気で」告白されたことなんて、に変えさせていただきました。


 この先の展開を考えた時に、この表現だと言葉足らずだと感じたので、勝手ながら変えさせて頂きました。


 既に読んでおられた読者の皆様方には申し訳ないです。

 

 

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