第5話 【幕間】あたしたちが知り合うまで


(画像 中学2年生の五月さつき

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818622170338462393


あたしと実乃里ちゃん・南ちゃんが知り合ったのは全くの偶然だった。

あたしの名前は、桂木かつらぎ 五月さつき

兄である三月みつきを愛してやまないブラコン妹であるな〜んて…てへっ


あの頃、実乃里ちゃん・南ちゃんは中学三年生…あたしは中学二年生。

三人とも全然別の学校。

普通なら接点なんか無いはずの三人なんだけど…


「あの~すみません…もしかしてあなたは『秋山 実乃里』さんじゃありませんか?」


とある日曜日、上野の現代美術館前で佇んでいた二人に、写真の記憶を頼りに意を決して話しかけたのは…あたしの方だったんだ!


実乃里「はい…そうですが?」


普通はなかなかに警戒心が働くはずのところだが…実乃里ちゃんも南ちゃんもフルートの世界では名が通っていて…話しかけ慣れていたんだよね。

実乃里ちゃんはにこやかに答えてくれたんだけど…その笑顔のまぶしいこと!



実乃里「はあ…あなたはフルートのご関係ではいらっしゃらないのですね…では、なぜわたくしの名前を?」

「あたし…桂木 五月といいます」


南「…」

実乃里「…」

南「…誰?」

実乃里「…ああっ!」


突然だ…突然、実乃里ちゃんが私の両手をがばっとばかりに掴んできた。

その力強さ…あたしは美しい虎の子供に引っ捕まったウサギになったような錯覚を起こした。


実乃里「ああ!もしかしましたらあなたは桂木先生の妹さんでは!?」

「はい!分かっていただいてうれしいです!」

実乃里「おうわさは先生からたびたび…本当に美少女でらっしゃるのですね」


「…いや、あなたに言われても…どうなんでしょう…」


普通は嫌味にしか感じません…あなた、そういうレベルの超美少女ですっ!

ちなみにその隣の女の子も「ザ・美少女中学生!」って感じで…その子がおずおずと話しかけてきたんだけど。


南「…そっかあ、分かりましたっ!あなたは実乃里ちゃんの…「例の」家庭教師の先生の妹さんなんですね?きれーなおねーさん」

「…へ?」

実乃里「南ちゃん!「例の」って何ですか!…って…どうされたのですか?…おねえさま」


お…おねーさん…おねえさま…って!?


「お…「おねえさま」とか言われても…あたし中学二年生…実乃里さんは中学三年生でしたよね?」


南「…うそだ!」

実乃里「…うそですわっ!」


「…ひええっ!?」


突然…二人が激高して迫ってきた。


南「その身長…そのスタイル…その大人びた顔…何よりそのたわわなバストで…中学二年生を語るなんて冒涜だよっ!」

実乃里「あなた大学生ですわよね?きっと先生と年子の…ええ!…そうに決まってますわっ!」


「老け顔で悪かったですねっ!どうせあたしはホルスタインですよっ!」


まあ…出会いはこんなもの。

現代美術館でのフルートリハーサルの帰りだった二人と秋葉原オタクグッズ漁りの帰りだったあたしは三人でお茶に繰り出し…ためらいなくお兄の噂話で盛り上がり…すっかり仲良くなって連絡先を交換しあったんだ。


次回「寸止め…お仕置き?」


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