2章 第二次富士防衛戦

第36話 三度、運命の狭間へ

俺は再び真っ暗な空間に居た、もう3度目だこの状況に馴れて来てる冷めた自分を自嘲する




「で?今回は一体なんだ?」




そう語り掛けた空間に、元の世界の龍道 進と光の集合体が現れる




「やぁ・・君に語り掛けるのは初めてだね・・僕は龍道 進・・もう一人の君であり君自身だよ」




相変わらず意味が分からない・・が




「そうやって意味の分からない事を何時までも言ってればいい、で俺をまたここに連れて来た目的はなんだ?この体を寄越せとでも言うつもりか?あの人狼の様に」




「だとしたら我にその体を寄越すか?」




横から光の集合体が話に割り込んで来て少しイライラする




「はぁ?俺はお前に言ったつもりはねぇよ!そこの龍道 進に言ってるんだ!」




「お前こそ何も解ってない、此処なる龍道 進はすでにお前と融合してる・・寄越すも寄越さぬもない」




俺はもう一人の自分を見ると、儚げな微笑みを浮かべ軽く頷く




「この場は特別な空間だ、本来結合し一つとなった意識がこの場においてのみ分離され個々の意識として自己認識する」




「なぁ何仕切ってくれてるのか知らねえけど、そもそもお前は何だ?」




コイツは・・・判ってる・・俺の深層意識ではコイツが何なのか分かってる・・だが




「・・・お前の考える通りだ・・・我は、 「すすむん」 ドラゴンロードにおける、もう一人の龍道 進である」




やはり・・・あの時の使えたスキルは確かにドラゴンロードの世界のモノだ・・しかも金属の武器が装備出来ない事や魔法が使えない特徴もドラゴンロードの職業特性と一致してる・・しかし




「いやいや・・可笑しいだろ・・・そこの龍道 進もこの俺も幼少期の記憶から、コンビニでバイトしてた最近迄の記憶が有るのにお前が入り込んだ時に、そんな記憶は何も俺に流れてこなかった・・」




「それは、お前たちの選んだ結果だ・・我はあの世界で来る日も来る日もスライムを狩り続けた記憶しか無い」




「そもそも、すすむんはゲームを始める時に作ったキャラなだけだ、そのキャラに記憶があるとか無いとか関係あるのか?言ってる事が可笑しくないか?」




光の集合体から発する光が強まり俺ともう一人の進の顔半分に影を作る




「我の知るドラゴンロードの世界は街の中の宿屋と教会と街の外の数十メートルという限られた範囲、それだけだ我に記憶を与えなかったのは誰だ?お前達ではないのか?」




「はっ!ゲームのキャラをどの様に育てるのかはプレイヤー次第だ、文句を言われる筋合いはない」




「確かにその通りだ、そなた等に我の記憶や存在について不平や不満を述べるつもりもない、寧ろ我は世界で最強の存在となりドラゴンロードの中で神にも匹敵する力を得た、その時間と機会はそなた等の与えた物といえよう」




「くっ・・・」




「それに、我の世界において関わりのある人物、ヒロインのさつき、しずく、教会のマリエ、宿屋のハル、その人物との記憶は鮮明に残っておる、ああ、ハルについてはそなた等には未だ関係ないがな」




「まぁ、折角頑張って強くなってくれたけど、その力は今俺が使わせてもらってるからな、すすむんさんよぉ~」




そう嫌味気味に光の集合体に告げると




「はぁ・・浅はか短慮・・無知・・前も感じたが此処まで小者だったとは・・・今からでも間に合う、そなたが・・・」




そう言われかけた元の世界の進は悲しそうに首を振り




「それは違うよ・・・僕たちの中にある、この勇気や人を思いやる心は間違いなく彼の育んだものだ・・だから彼こそが相応しいと僕は思う」




「そなたが言うので有れば何も言うまい・・・ただ此れだけは伝えておく、何のリスクも無く我の力を使えると思うなよ」




「どういうことだ?」




「我はドラゴンロード・・つまり・・人外である・・・我の力を使い過ぎれば一つしか無い龍道 進の体は人外のモノへと変異するやも知れぬ・・・くれぐれも無茶をしない様に・・こればかりは我にも分らん」




「つまり危険を覚悟で力を使えと?」「君なら大丈夫だよ、大切な人を守る時にしかその力を使ってないじゃないか・・だから・・きっとだいじょう・・ぶ・・・」




そういうと元の龍道 進は消えて行った




「そろそろ時間だ、再び運命が交錯する狭間でまみえようぞ、我の力そなたに託す・・・ぞ」




「おい!?まて、また運命が大きく動くってのか!?まてって――!」










「待てよ――!!」「きゃぁぁぁぁ」悲鳴と共に自身が大きく揺れなにか柔らかいモノが顔に触れる




「いつっっっ・・・・ん?」「あ、あん・・・進ったらぁ~」頭を触っているとフニフニと柔らかい枕の上に居る様だ・・




「ちょっとぉぉぉ、人に運転させておいて、自分だけイチャイチャするとかぁぁ有り得ないんだけどぉぉぉ」




ようやく視界が安定してきたが何やら狭い部屋でしかも揺れている・・・と、




「進ぅ~ようやく目を醒ましたのねぇぇ!」そう声がすると誰かに頭を抱きかかえられる




「こ、この声!?星奈さん!?」「あはぁ♡正解~」




それにどうやら此処は車内の様だ・・運転席には由利さん・・ミラー越しに目が合うと笑顔で頷いてくれていた




「俺・・・何でこんな所に・・・・」




星奈さんの胸元から上体を起こすと辺りを見渡し星奈さんに質問する




「今、私達は静岡に向かってる・・・進は・・・町から・・・・追放されたの・・」




「ええ!?」








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る