第3話 ヒロインの設定はどうしよう?

画面に表示されたレベルが999になったログの画面を感慨深く眺める




「よし!」




気合を入れなおし、村に戻ると何度と無く通い詰めた教会のシスター【マリエ】に話しかける




「おお、すすむんはドラゴンロードのレベルを最高まで極めました、ここに天啓を授けます」




(今度の上限は幾つ解放だ?1099か?それとも新しい隠し職業か?・・)

ドキドキしながら神秘的な効果音が鳴りやむまで画面に釘付けだった




「貴方は、人が到達できる限界以上の成長を遂げ神の領域に到達しました、その前人未踏の挑戦への成功に敬意を示し、主神よりこちらを授けます」




【テレレレン♪】すすむんは主神より【真理の玉】を受け取りました




「・・・・・・・・・ん?」




俺は再び【マリエ】に話かける




※:すすむんのドラゴンロードのレベルは最大値です(・・・・・・・)


※:すすむんは勇者に転職しました


※:すすむんの勇者のレベルは最大値です(・・・・・・)


※:すすむんは魔法使いに転職しました


※:すすむんの魔法使いのレベルは最大値です




「・・・・・・・・うそ・・終わり?」




それから全部の職業を確認したが結果は同じ俺の15年間の歩みは此処で止まるのか・・・




途方に暮れふと振り返ると両親の優しく微笑む笑顔の写真が頷いた様に見えた




「いや・・逆だなこれは父さん母さんが俺にもういい加減前に進めと言ってくれているのか・・・」




「そうだな・・・・よし!それじゃ!15年目にして初めてストーリーを進めるか!!」




俺は初めて宿屋と教会以外の建物に入ってみた、そこには今まで見たことも聞いた事もないキャラが居て、あたりさわりも無いたわいもない会話が始まる




そんな中で雑貨屋に入ると、どうやら最初のイベントに入ったようだ




店長:「すすむん今日はおそかったな、また夜まで遊びふけていたのか、しかたない奴だ」


店長:「さっさと支度して店に出て働け」




(まぁ本当は15年間も遊びふけていたがな・・・)

どうやら、すすむんはこの店で働いている設定のようだ




しばらくキャラが雑貨屋の中をチョコマカ動きしばらくすると画面が暗転して、自宅に戻される




(まぁこういう脈絡のない移動も昔のゲームのお約束か)




自宅から移動し再び雑貨屋に入ると、店長の横に金髪と黒髪の女の子キャラがいた




近づくと急に入力画面になる、どうやら女の子に名前を付ける様だ・・という事はパーティーメンバーかな?




説明書を読むとこのゲームは通常は4人パーティーで行動するゲームらしい、冒険を進めて行く中で沢山の仲間を集めパーティーを厳選して強敵と戦いラスボスに挑むという流れだ




その中でもこの最初に登場する2人のキャラは特別で、在り来たりな設定だがヒロインという位置づけらしい、説明書の表紙もヒロイン二人が剣を構える主人公に抱き付いた挿絵だった




俺はそれぞれのヒロインの設定概要を読み進める




☆金髪の少女: 職業:魔法使い  【すすむん】を雑貨屋で見かけ一目で好きなる、心から【すすむん】の事が大好きだが、素直になれない為いつも気持ちと逆のキツイ言い方しかできない事を悩んでる、すすむんともっと仲良くなって自分の正直な気持ちを伝え恋人になれる切っ掛けをいつも探してる




☆黒髪の少女: 職業:僧侶  【すすむん】を雑貨屋で見かけ一目で好きなる、妖艶な小悪魔系の少女で、いつも【すすむん】を誘惑してくる、しかし【すすむん】を好きという気持ちは本物で一途、隙あらば【すすむん】とエッチする事を狙っている、【すすむん】を煽って襲ってもらい既成事実を作ろうと狙ってる




「・・・・・これ黒髪の女の子の設定・・・完全に18禁じゃないか?・・・・さすが規制が緩かった時代のゲームだな・・・」




※:名前を決めてください




「うーん、まぁ設定条件の性格が少し似てるからなぁ・・・ほかに思いつかないし・・・」




☆金髪の少女:【さつき】→決定でよろしいですか?→後から変更できませが本当によろしいですか?→ 一生後悔しませんか?→【さつき】で決定しました




☆黒髪の少女:【みお】→決定でよろしいですか?→後から変更できませが本当によろしいですか?→ 一生後悔しませんか?→【みお】で決定しました




「何だったんだ?やけに念押ししてきやがったな・・一生後悔しませんかとか少し笑えるな」




俺はやけに慎重に決定を聞き直すイベントガイドに苦笑しながら名前の入力を終えると次のイベントが始まった




店長:「すすむん、今日から一緒に働く【さつき】と【みお】だしっかり面倒みてやってくれ」


さつき:「なんか冴えない人だね、まぁよろしくね」


みお:「年下の女の子をヤラシい目でみて来て、変態君かな?w」




「・・・・・・・・・・・・」




(なんだろ?この既視感・・・俺って職業レベル最高のプレイヤーなんだけど・・なんかこの時点ですごい敗北感を感じるな・・・)




さらにイベントが進み3体のキャラが画面の中を忙しそうに自動で動き回ってると、突然画面が移動し、すすむんは店長と二人で小さな部屋にいた




店長:「すすむん、困るよこんな失敗ばかりして、【さつき】と【みお】に示しが付かないよ」




「・・・・・・・・・・・・」




(なんだろ?又だ・・この既視感・・・俺って全職業最高レベルなんだけど・・すごい無力感・・・)




そうするとまた急に画面が暗転して、お約束通り自宅に戻される




(なんだか、すすむんって俺の今と境遇が似てるな・・・でも、すすむんには絶対的なレベルの強さがあるが俺には何も無いし、可愛い(挿絵を見た俺個人の評価で)嫁候補も2人居るしな)




「俺とは似て非なるって事だな」

自分で口にして悲しくなるので、これ以上は考えないようにした




三度目の雑貨屋に入ると、【さつき】と【みお】が受付に立ってるのでコントローラーですすむんを動かし近づくと物語イベントが始まる




画面の下の方から、いかにも悪そうなキャラが真っ直ぐ二人の方へ近づく




悪者「おい【さつき】【みお】俺と付き合えないならここで始末してやる!」




(なんだこの悪者ってやつ・・・話の内容に脈略が無くて滅茶苦茶だ・・・ゲームだから許される話だな・・)




さつき:「あんたなんか嫌い!顔もみたくない」


みお:「わたしには既に心に決めた人がいるから、私その人の子供以外産む気無いから!」




(心に決めた人って【すすむん】だよな・・・みおって話の中身が重いんだよね・・・ん?コマンド選択?)




➡ たすける


  見捨てる




まぁここで「見捨てる」の選択は無いわな  ➡ たすける




選択するとすすむんは勝手に【さつき】と【みお】の前に移動し悪者の前に立ちはだかる




さつき:「すすむん!危ないって!逃げて!!」


みお:「ちょっと危ないよぉーー」




すすむんと悪者が画面中央で接触して画面が暗転して戦闘が始まった




※すすむんの行動を決定してください




➡こうげき


 とくぎ


 防御


 逃げる






ここは久しぶりに恰好良くドラゴンロードの使える最強技を使って倒してやろう

➡ とくぎ




➡竜爪【6連撃】


 爆炎【持続】


 永久凍土【多段】


 雷光【全体攻撃】


 暴風斬【メタル系〇】


 土腐【毒耐性を無効】


 竜の|瞑想【HP全体回復】


 神龍の一撃【ダメージ限界突破】




ちなみに【 】の効果は他の職業のパッシブスキルで獲得した追加効果だ 




➡神龍の一撃【ダメージ限界突破】




神龍の一撃はドラゴンロード最強の技だ、パッシブスキルのダメージ限界突破は勇者と魔王のレベル999の特典報酬でゲットした




※すすむんは悪者に神龍の一撃【ダメージ限界突破】で攻撃した








※悪者は「00000」のダメージを受けた






「・・・・・ん?」






悪者の攻撃、悪者は「こうげき」した






※すすむんは「99999」のダメージを受けた、【デッデッデッ】すすむんは死んでしまった






「あれ?・・・・・え?」




≪GAME OVER≫




《すすむんの所持金の半分「?§Σ%$???」が消失しました》




「・・・・・うそ・・レベル999で負けた・・しかもイベントで強制的に負けたぽいのに所持金が消えた・・・半分のお金・・・俺の7年と半年分の努力が・・・・」


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