天使様と過ごす最高の放課後
「はい、以上でホームルーム終わります。夏休み楽しんで」
担任の話が終わるや否や、クラスメイトたちが一斉に席を立つ。
維澄も部活に行こうと立ち上がった。
「維澄ー!」
「おー、どうした?」
教室の入り口から、山口に呼ばれ、そちらに向かう。
「今日の部活、休みになったって」
「え?マジかよ?」
「おー」
「わかった、連絡、ありがとう」
帰って行く山口を見送ってから、維澄も自分の席に戻りカバンを取り上げる。
「颯太、一緒に帰らねー?」
「レナと帰るんじゃないの?」
「神山とは約束してないけど…どうして?」
颯汰が教室の後方を指した。
そこでは梨花とレナが顔を寄せ合って、何やら話している。
「多分だけど、レナは維澄と帰りたいと思うよ」
「うーん…俺は嬉しいけど。わかった。また、来週な」
「おう」
維澄と颯汰が話終わらないうちに、レナが梨花に連れられてやって来た。
「維澄くん、今から空いてる?」
「おう」
「一緒に、帰らない?…話したいこともあるし」
「わかった、行こうか。颯太、金山。またな」
「バイバーイ」
「じゃあな」
梨花と颯汰に見送られながら、教室を出る。
(話したいことって、なんだろう)
もしかするのだろうか。
なんて、淡い期待を抱いてしまうのは、維澄の自惚れだろうか。
隣を歩くレナは、何も言わない。
緊張しているのだろうか。
「どこ行こうか?」
「ご飯、行かない?」
「お腹空いたしな。何食べたい?」
「維澄くんの食べたいものでいいよ」
「俺?…うーん、特にないんだけど」
「私も特にかなぁ。あ!美味しいジェラート屋さんがあるんだけど、そこ行かない?」
「いいね!暑いし、どっち?」
「駅の方だよ」
レナが駅の方を指差す。
近くに、そのジェラート屋の登りを見つけた。
「姉ちゃんが前に来た時、美味しいって言ってたな」
「そうなんだ!お姉ちゃんいたんだね」
「うん」
ジェラート屋に入り、案内された席に着く。
店内はエアコンが効いていて、涼しかった。
「何味にしようか」
「神山のおすすめは?」
「ミントが大丈夫ならチョコミント。後はラズベリーとかマスカット、バニラ、イチゴもおすすめ」
「いっぱいあるな。さすが神山!じゃあ、ラズベリーとバニラのダブルにしようかな」
「いいね。私はチョコミントと抹茶にしようかな」
それぞれジェラートを頼み、窓の外を見ながらぼんやりと待っていた。
「お待たせしました」
店員がジェラートを持ってきて、テーブルに置いてくれる。
「ありがとうございます」
店員が戻るのを待って、スプーンを手に取った。
「食べようか」
「ん〜美味しかったね!」
「そうだな。…そういえば、レナが話したいことってなんだ?」
「…ずっと、思ってたことやっと話す決心がついたから」
「そうか」
もしかしなくても、告白のことだろうか。
この関係を終わりにしたいと思っているのだろうか。
「私は…維澄くんが好き」
「うん」
公園に入り、レナが維澄を振り返りながら言う。
「ずっと、先延ばしにしてごめんね。…今も、私のこと好き?」
「嫌いになると思う?」
「…思わない」
真っ直ぐに見上げてくるレナを抱きしめる。
「レナ、好きだよ」
「私もだよ。沢山待たせたけど、付き合ってくれる?」
「もちろん」
夢を見ているようだった。
レナに告白されて、彼女は今維澄の腕の中にいて。
維澄と付き合うと言ってくれた。
(天使のように可愛らしいレナと付き合えるなんてな)
維澄にとって、レナは天使のような存在だった。
「それじゃ、どこ行こうか?」
「ゲーセン?」
「いいね」
レナと一緒にゲーセンに向かう。
彼女と過ごす放課後はいつも楽しいけれど、今日は特別な時間だ。
ーレナが彼女になってくれたのだから、これ以上に最高なことなんてないだろう。
「プリントシールの撮りたい!いい?」
「もちろん」
「どれにしようかなぁ。ねぇ、維澄くん撮りたいのある?」
プリントしてが並んでいる前でレナはキラキラと瞳を輝かせる。
「レナが決めていいよ」
たまらなく愛おしくて、笑みが溢れた。
「ほらほら、早く!」
レナに手を引かれてプリントシールのひとつに入る。
「もう少し、こっち」
楽しそうに笑うレナを見ていたら、待っていてよかったと思える。
あの時、無理やりにでも付き合っていたら今日を迎えられなかったと思うから。
こんなに最高な放課後はないだろう。
ーレナを好きになれて、本当によかった。
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