前のエピソード――第25話

⑤　ＳＮＳ・掲示板

スタジアムでの楽しさのひとつに、「誰かとお喋りしながら観る」ということがあります。

友達や家族同士で話し合うのはもちろん、たまたま隣に座った見知らぬ誰かと、共通の趣味を持った仲間として親しく語らうのも楽しいものですよね。

ＩＣＴが普及した現在、ネット上にはたくさんの語り場があります。

試合中にTwitterを見れば、大勢の人が「#carp」のハッシュタグをつけた呟きを投稿しています。タイムラインを流れる言葉の波を眺めていると、球場の賑やかさが聞こえてくるよう。

また、ニコニコ動画やＡｂｅｍａＴＶのように、配信される動画上にコメントをつけられるものもあり、それに実況アナウンサーさんが反応してくれたりすることもあります。

野球実況ができる掲示板といえば、最も有名なのは「なんでも実況Ｊ（ジュピター）」、通称「なんＪ」でしょう。

超巨大掲示板サイト「２ちゃんねる（現在は“５ちゃんねる”）」の中にあり、５ちゃんねるでもおそらく最大の勢力を有するであろう板（いた）。

「やきう民」と呼ばれる野球ファンが、それぞれの試合ごとに実況用のスレッドを作り、現地観戦をしながら、あるいはテレビなどを観ながら、次々に思いついたことを書き込んでいます。

ただ、なんＪ特有の文化があり、初心者にはとっつきにくいでしょう。例えば「猛虎弁」というエセ関西弁のような喋り方や、常連にしか通用しない隠語、暗黙のルールなどがあり、それを理解しないまま書き込もうとすると「半年ＲＯＭれ」と怒鳴られてつまみ出されるのがオチ。

また、過激なファンやアンチなど、差別的で乱暴な言葉で他人を煽る悪趣味な人も一定数いるので、楽しく和気あいあいと野球を楽しむ場とは考えないほうがいいでしょう。

５ちゃんねるとは別に、「おーぷん２ちゃんねる」という掲示板サイトもあります。

これは、諸般の事情により５ちゃんねるから離脱したユーザーが作ったクローンサイトで、見た目や内容は５ちゃんねるそっくりです。５ちゃんねる同様に「なんでも実況Ｊ（ジュピター）」という板が存在し、「おんＪ」という通称で親しまれています。

なんＪのクローンであることから、文化や暗黙のルールはほぼなんＪに準拠しています。ただし、利用者がさほど多くないことや、まとめサイトから流入してきた一般ユーザーがいることから、なんＪよりはいくぶんマイルドです（あくまでも“いくぶん”）。

また、多くの野球系まとめサイトはおんＪの書き込みをソースにしていることが多いため、自分のコメントが後で記事にまとめられたりすることもあります。

テキスト実況は言葉が一人歩きしてしまうため、自分の意図とは違う解釈をされて攻撃されたり、あるいは自分の書き込みによってその場の雰囲気が荒れる原因になってしまうこともあります。

そのため、こういった掲示板などを利用する際には、必ず心掛けたいことがいくつかあります。

・「共用スレッド」では自分の応援するチームのことばかり過剰に語らない

→スレッドにはいくつかの種類があります。タイトルに「〇〇専」と書かれているものは、そのチームのファン、あるいは特定のユーザー専用のスレッドです。例えばカープファン専用なら「鯉専」などと書いてあったりします。

こうした特定のユーザー専用でない「共用」と書かれたスレッドは、その試合の対戦チームのファンが一緒に利用します。スタジアムの風景で考えるならば、１塁側と３塁側の応援席が一緒くたになったようなもの。そうした場所で自チームのことばかりべらべらと大声でまくしたてている人は…どうでしょう？感じが悪いですよね。

相手チームのファンも存在することを意識して利用していれば、共用スレッドは比較的マナーも良く、相手チームの選手について知る機会でもあり、野球そのものを楽しめる場所といえるでしょう。

・「自分語り」をしない

→多くの人が利用する掲示板で、自分のことを長々と語る行為は、野球に限らず２ちゃんねるでは最も嫌われる行為です。個人のＳＮＳやブログなどでやりましょう。

・「荒らし」に反応しない

→過激な言葉で他人を挑発しレスバトルに誘い込み、その場の雰囲気を壊す「荒らし」。彼らは誰も反応しなければすぐに立ち去るので、スルーするのが正解です。うっかり構ってしまうと、自分自身も「荒らし」と認定されてしまうので注意。