第7話

ドラフト会議で新しい選手が入ってくる反面で、チームには定員がある以上、お別れしなければならない選手もいることになります。


選手が自らユニフォームを脱ぐ「引退」。

チームから別れを切り出される「戦力外通告」。


戦力外通告を受けた選手は、その後も現役を続けたければ、トレード等での他球団への移籍の道を探すこととなります。

また、「12球団合同トライアウト」という、戦力外選手が“まだ自分はやれるんだぞ!”とアピールする機会もあり、そこで他球団の目に留まれば、再契約の道もあります。


また、選手自身が持つ権利としての移籍もあります。「フリーエージェント(FA)宣言」です。

一軍である程度の年数を経過した選手に与えられる権利で、それを行使するのがFA宣言。もちろん行使しないという選択肢もアリです。

この宣言を行うと、その選手は契約を求めてきた他球団の中から自分の要求に合致する球団を選んで契約することができます。


FA宣言はずっと頑張ってきた選手がようやく獲得した権利の行使です。選手にとっては、子供の頃からの夢を叶える唯一のチャンスといえるでしょう。

とはいえ、ずっとその選手を応援してきたチームのファンにとっては寂しいことであるのも事実。


2018年末、カープからは丸佳浩選手がFA宣言し、ジャイアンツに移籍してしまいました。

カープの優勝の立役者であるキクマルコンビの一角を担ってきた素晴らしい選手であり、その明るい性格でファンを楽しませてきた丸選手。

私自身も行かないでほしいと願っていたので寂しいですが、新天地でも頑張ってほしいですね。



このFAに伴う、もう一つの移籍の形があります。それが「人的補償」です。

FAした選手が元のチームの主力選手だった場合、新たに契約したチームから元のチームに対し、補償として選手を1名与えなければなりません。

FAで受け入れる選手の“身代わり”と聞くと、♪ドナドナド~ナ~ド~ナ~♪という悲壮なメロディが脳裏をよぎってしまいそう。

でも、この人的補償という言葉の物悲しいイメージを覆した選手がいるのです。カープの一岡竜司投手です。

彼は13年オフ、カープから大竹寛投手がFAでジャイアンツに移籍した際に、人的補償としてカープに移籍しました。

ジャイアンツ時代からその才能は高く評価されていたものの、一軍で活躍する機会を得られずにいた一岡投手。

ところが移籍先のカープでは、リリーフピッチャーのうち最も信頼のおける投手として大活躍。カープ3連覇に大きく貢献しました。

このように、人的補償は決してマイナスのイメージで捉えられるものではありません。


そして今回、丸選手の人的補償としてカープに移籍してきたのは、長野(ちょうの)久義選手。

これは大変な驚きでした。なにしろ、長野選手といえばジャイアンツファンに絶大な人気を持つ、実績充分のベテランだからです。

19年、長野選手がどのような活躍をするのか、カープファンとしてはワクワクが止まりません!

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