第2話

ああ、のっけから騒がしくてゴメンなさい。

とりあえず説明するわね。

あの激怒している黒服の男は、鬱摘幸修(うつつみこうしゅう)。ぽややんとした色白の女は、藤風(ふじかぜ)れんげ。2人とも当編集部のライターで…あ、えーとね、此処は『月刊ヤングAZUMAYA』っていう雑誌を作っている編集部なの。

ウチの雑誌、知らない?…あ、そう…。

でも、知らなくてもしょうがないかな。

表向きは『広域タウン情報誌』なんだけど、世間的には『B級・低俗・眉唾ゴシップ・エロ雑誌』って評価されてるし…まぁ、確かにそのとおり、かな。

鬱摘君は官能小説まがいの恋愛小説を書いてるし、れんげちゃんは男女の痴情のもつれ絡みの事件のルポルタージュを書いてるし。

ちなみに鬱摘君は大の猫好き。さっきから騒いでいるのは、彼の愛猫のヒゲが何者かに切られたみたいね。

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