第11話 ドS特攻を獲得しました
「ふざけんなぁぁぁ、俺は生きるぅぅぅ」
「ねぇぇぇ男だよねぇぇぇ! 友也くん戦ってよぉぉぉぉ」
王都から転移させられた俺とエルフの姫は、バカでかい食中植物の群れに追われていたぁぁぁ!
「くそぉぉぉ、なんで俺たちこんな森にいるんだよぉぉぉ」
「知らないよぉぉぉぉぉ」
このババアエルフおとりに使って逃げるか? 知ってるか? こいつ可愛いエルフだと思ったら、転生者とか詐欺だろ! 転生前の中身が四十六歳のおばさんとか意味わからーーーん。
「ねぇ、トモヤがアンタのこと「おばさん」だってさ」
ちょっとリスカさん! それは言っちゃいけないぞ。
「だからガキは嫌いなんだよぉぉぉぉぉ」
「こっちだってババアは嫌いだぁぁぁぁ」
エルフの姫としてのおしとやかさの欠片もないぞ。 走り姿もなんだかおばさんみたいに見えてきた。
「おい、トンネルだぁぁぁ。 あそこを抜けるぞ! あの狭さなら植物たちも追いかけてこれないはずだ」
◇
「はぁ、はぁ。 ま、まいたか?」
「うふぅ、うふぅ。 そう……みたい」
くそっ…… 森のなかは涼しいけど湿気あるから汗とあわさって気持ちわりぃ。 あと、その息づかいがおっさんくさい。
「見てみて、湖だよ。 水浴びしたい!」
「あー? 行ってくればぁ」
転生者と違ってこっちはノーマルなの! 疲れてるから、ちょっと休ませてくれ……
「覗かないでね」
だーーーーれが覗くか! ウチの母親と同い年の裸なんて見たくねーわ! 精神衛生上よくねぇぇぇ。 なんて言うきりょくもないわ……
さーて、どうする? 俺の異世界知識だと、仲間とすぐに合流できる話はきいたことがない。
「……アイツら無事かな?」
……ピンピンしてる想像しかできねぇ。 二人で圧勝してるだろうな。
「トモヤ、これからどうするの?」
「まずはエルフの国に行くしかない。 それから王都かな」
「そ。 頑張りなさい」
さすがに見捨てるのは後味悪い。 クエスト放棄したら金貨百枚を返金しないといけないのが一番の痛手だしな。
「はぁぁ気持ちよかった!」
「そりゃ何よりで」
ババアなのに頭からっぽなんだな。 いや、だからこそか。この状況で水浴びって無警戒すぎるだろ。
「友也くん友也くん、お腹空いた」
「状況わかってます?」
俺は未来の高性能ロボットじゃない。 無職だからテストで0点とるロボットの友達より格下だな。
「わかってる。 でもさ……」
「わかったわかった。 何か食えそうなモノ取ってくる」
ちくしょう。 中身はあれでも、外身はかわいいエルフなのが余計に虚しいわ。
◇
「はぁ……異世界スキルありがちなアイテムボックスと鑑定って重要なんだな」
アイテムボックスないと果物とかの持ち運びが不便すぎる。 あと鑑定ないとサバイバルでは命に関わってくるもんな。
「…………あいつバカだから大丈夫だろ」
なんか赤いキノコがたくさん生えてるから持っていこう。 あいつなら食えるだろ。
しっかし、数日歩いてるはずなのに森を抜けられないってことは。街の近くではないだろうな。 どこかに集落とかあれば助けてもらえるんだけどな。
「これ、なんだ」
木に傷あと? 動物なら爪の数が合わない。 横一線に何か鋭いもので乱暴に切った感じだ。 もしかして人がいるってことか?
…………怖いから戻ろっかな。
◇
「びぇぇぇ、友也くーん、助けてぇぇぇ」
何やってんの……めっちゃ剣とか持ってる女に囲まれて泣いてる哀れなエルフがいるんだけど。 帰っていいかな。
「何者だ、ここはアマゾネス族の縄張りだ」
アマゾネス? たしか森の狩人みたいなやつか。 なら、先手あるのみ!
「ウチの者が申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ。 道に迷ったんです!」
どうだ! スライディング土下座だ。 こういうときは下手に出るれば連れて行かれても殺されはしないはず。
「友也くんだせー」
うるせー黙ってろエルフババア!
「集落がバレた。 殺すしかない」
えぇぇぇぇ!? これで殺しに来るってヤバイだろ! 強制バトルイベントやめてぇぇぇ。
くそっ、考えろ考えろ考えろ生き残るために!
あぁぁ。
だめだぁかてるみらいがおもいつかねぇ。
だって、俺は最弱の
「スキル・女たらしだぁぁぁぁ!」
「ぐっ……何だ。 何を、した」
えっ!? 何がおこった? 何もしてないぞ。 何もしてない……よな?
「…………気に入った。 来い」
気に入った!? ちょ、ちょっと待って、なんで!? ぐぇ、首しめないでぇぇ、縄で縛ってもいいからくびぃぃ。
女たらしのスキルがレベルアップして三つ目の能力――
「ドS特攻」を獲得しました。
「集落に連れていく、おとなしくしろ」
あ、ちょまって! スキルの表示が見えない! 俺たちを連れていかないで、エルフババには何してもいいですから、俺だけはお助けくださいぃぃ!
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