第7話 S級冒険者
「なんでこうなるのぉぉぉぉおぼぼぼぼっぼぶぶ」
「びっくり」
「愛の逃避行ですわ」
睡眠中に魔ソ汁を擦りつけてくる夜這いクレイジーの炎獄の魔人と初対面で魔ソ汁を擦りつけてくる頭のネジが百本ぶっ飛んでる大罪人とアルカディア騎士団に包囲され逃げているのだ。 続く!
「待てぇ! イケメ……ゴホン、異世界人!」
「ごりゅるはおんぴ! ふぁくどぺはおん? ぽるぷなおでふぉあ」
通訳「ぶばばばばばばば! んげげげげげげげ? あの腹パン女騎士だ」
「舌噛みますわよ、トモヤさん」
それよりも速度落としてくれぇぇぇぇ、首がもげうぅぅぅぅ。
「ねぇ、私もトモヤ持ちたい」
「フィナベルが抱えて走ったら四肢がもげますわよ」
俺はぬいぐるみじゃねぇぇぁぁぁぁぁぁんぼぼぼあぷぷぷるぶるるるるンビィリリごりりゅぽ。
「アルカディア流剣術一ノ型飛天龍衝!」
「ぴゅ、ぷるぽ!?」
通訳「な、なんだ!?」
剣持った変な女がアルカディア騎士団たちに斬撃を飛ばして足止めしてくれてる! やるじゃねーか変な人。 ……斬撃ってどうやって飛ばすの?
「ここは任せて逃げていいよ!」
「あら? ではお言葉に甘えて、感謝いたしますわ」
ちょ! 足止めしてくれる人がいるなら降ろしてくれって! 行かないでよぉぉブルルルポルンゴリュボボボボ。
「くっ…… S級冒険者がなぜ邪魔をする! アナベル!」
「困ってる人を助けるのが冒険者のさがってやつかな?」
女騎士が剣を向けるとアナベルも剣を抜く。
ポタ……………ポタ……………ポタ……………ポタ
ポタ……………ポタ……………ポタ……………ポタ
ポタ……………ポタ……………ポタ……………ポタ
相対するはどちらも剣の達人。
相手の立ち姿、力の配分。
足元に転がる石さえ戦術に取り込もうと思考を巡らせる両者は極限の集中で汗が流れる。
息が止まる 息が止まる 息が止まる それを見ているものは息が止まる。
カタンッ。
均衡がくずれる。
「行くぞ、産業廃棄物!」
「来い、便所騎士!」
二人は勢いよく飛び出し、剣戟が合わさり火花が散った。
◇
「はぁはぁはぁ首をもげてしぬかと思った」
俺の首ついててよかった! 少しおしっこ出ちゃったからパンツ買わないと……
「さっきのはアナベルですわね、S級冒険者がなぜ?」
S級って言ったら最高峰の冒険者だ。 このメンツって討伐対象だろ? ……言ってて虚しくなるんだけど。
「つよいと思う」
「えぇ、あの騎士と同じくらいに強いですわね」
あの腹パン女騎士って剣戟飛ばすやつと同じくらいに強いの!? 化物じゃん! 負けちまえ。
「そうですわ、闇ギルドへ行きません?」
ええ、そうしますわ! じゃねーよ! 行かねーよ、闇ギルドをコンビニ感覚で言うな!
「お尋ね者でしたら、そこくらいしか稼ぐ手段がないですわ」
「ん、おなか減ったから」
「決まりですわ」
あー、また俺の意見は無視っすか。 まぁ、わかってましたけどね。 わかってましたけどね!
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