凱旋兵士は休みたい
tanahiro2010@猫
000 Prologue
2026年。世界は不安定な時代に突入していた。
長く続く某露国家の隣国侵攻や、第二次トランプ政権の復活。
アメリカがロシアに肩入れし、世界の均衡は崩れつつあった。
経済も政治も不安定な中、突如として現れた衝撃的なニュースが世界を揺るがすこととなる。
NASAが、地球外生命体の存在を正式に発表したのだ。
最初は信じられなかった。
だが、彼らの発表は確かなものであり、恐怖と驚きが世界中に広がっていった。
その存在は、「殲種(せんしゅ)」と呼ばれ、地球人の理解を超えるような理不尽な兵器を使って、いきなり地球に侵攻を始めたのだ。
最初の一撃で、世界各地の都市が壊滅的な被害を受けた。
地球人はその力に対抗する術を持たず、戦争の終息を望む声も届かぬまま、世界は混乱の渦に飲み込まれていった。
この時、誰もが心のどこかで、地球が終わりを迎えることを感じていた。
その絶望的な時期に、さらなる発表がされた。
NASAは、親地球派とされる「理盟」の存在を明かした。
理盟は、地球人と同じく知的生命体であり、地球を守るために暗躍していた。
だが、彼らの方法は、人道的とは言えないものだった。理盟の存在と共に、彼らが作り出した改造兵――その最初の兵士の中には、たちが存在していた。
その中で、最も注目されたのは、ひとりの少年だった。名は「橘榊(たちばな さかき)」、17歳。
彼は、理盟によりとある改造を施されたが失敗作とみされ表向きは理盟による完全改造兵として政府に寄贈された。
彼は殲種との戦いで力を発揮し、徐々にその真価を示していく。
そして、殲種のほとんどが排除されたとき、予期せぬ事態が起こる。
ロシアが理盟の改造兵の存在を危険視し、「改造兵を我が国に引き渡さなければ、対処をする」と脅迫を始めた。
これにより、殲種との戦いにおける英雄的存在の意思を尊重したいアジア、欧米諸国とそれを危険視するロシアとの第三次世界大戦が勃発した。
理盟によって提供された最先端の戦争兵器などが使用された戦争、誰もが長期化を予想した。
だが、そんな予想を裏切り橘榊は「早く平穏に戻りたい」とあっさりとその戦争を終結させてしまう。
———1日で。
しかし、彼はその功績を隠し、平凡な日常に戻ろうとした。
学校へ通いながら、再び殲種の残党を処理するという任務を背負って。
だが、彼の胸の奥に湧き上がるのは、平穏を求める心の一方で、抑えきれない疑念と絶望感。
その中で、橘榊は一体、何を目指すべきなのか、何を求めて生きるのか、迷いながらも歩み続けることになる。
——これは、そんな橘榊の凱旋後の物語。
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