第12話 ダンジョン深層にて
ウィンドドラゴンを倒した真生と竹迫は、ついにダンジョンの最深部へと到達した。長い戦いの末、二人は息を呑むような神秘的な光景を目の当たりにした。目の前には、巨大な広間が広がっており、その中央には暗闇の中に輝くような赤い瞳を持つ、恐ろしい存在が待ち受けていた。
「ここが…最終決戦の場所か。」真生はその場に立ち尽くしながら呟いた。
その目の前に立つのは、「黒竜」。見た目は、かつて倒したウィンドドラゴンを遥かに超える圧倒的な大きさと威圧感を放っていた。黒竜の鱗は、まるで漆黒の金属のように光り、全身からは不気味な闇のオーラが漂っている。
「やばい、あれ…」竹迫は言葉を失った。その視線の先には、全身に漆黒の炎をまとった黒竜が、ゆっくりと二人に向かって歩み寄ってくる。
強すぎる黒竜
黒竜の咆哮が響き渡り、辺りの空気が震えた。真生と竹迫は、これまでのモンスターとはまるで格が違うことを直感で感じ取った。黒竜はその巨大な体を動かしながら、あらゆる方向から攻撃を仕掛けてくる。
「真生…あれ、やばすぎる!」竹迫は後ろに飛び退きながら言った。
黒竜はその口から吐き出す黒い炎で、周囲の空間すら焼き尽くし、さらに鋭い爪で切り裂こうとする。真生と竹迫はその攻撃をなんとかかわしながら反撃を試みるが、その速さと力強さにはまるで歯が立たない。
「くっ、攻撃が全然効かない…!」真生は何度も黒竜に立ち向かうが、すぐにその攻撃を回避するのがやっとだった。魔法を駆使しても、黒竜はほとんど無傷で、反撃の手が止まらない。
竹迫は、風の加速で何度も回避し、攻撃の隙を突こうとするが、その一撃一撃が強力すぎて、近づくことすらできない。
「ダメだ…このままじゃどうにもならない!」竹迫は声を絞り出し、必死に立ち向かうも、次第に力尽きていく。
真生の決意
その時、真生は深く息を吸い込み、目を閉じた。彼の頭の中には、これまでの冒険のすべてがよみがえっていた。竹迫と共に歩んできた道、成長し続けた自分、仲間を守りたいという強い思い…。そのすべてが、今、黒竜に立ち向かう力に変わろうとしていた。
「俺は…負けない。」真生の声は、どこか静かで確固たるものだった。
真生はもう一度、「火球」や「氷の槍」などの魔法を駆使して攻撃を仕掛けるが、それでも黒竜にはほとんど効いていない。その時、真生はようやく自分の力を使う方法を思いつく。
「これだ…!」真生は、今まで温存していた**最強の魔法「アーク・フレイム」**を発動することを決意する。彼の魔力が一気に高まり、周囲の空気が熱く震えた。真生の体から放たれる炎は、まるで大自然の力そのもののように荒れ狂い、黒竜に向かって放たれる。
「アーク・フレイム…!」
巨大な火の竜が黒竜に向かって突進し、黒竜の体を包み込んだ。しかし、その炎を浴びても、黒竜は一瞬も怯むことなく、さらに強力な黒炎を返してきた。激しい戦闘が繰り広げられ、真生はその力に耐えながら、何とか黒竜を封じ込めるための一撃を放とうとする。
竹迫の覚醒
竹迫は、真生が自分の力を解放し、必死に黒竜に立ち向かっている姿を見て、再び心が熱くなった。自分もまだまだ足りない、でも…真生がここまでやっているなら、負けていられない。
「俺も…戦うんだ!」竹迫は自らの「風の加速」を最大限に使い、今度こそ黒竜の隙を突こうと駆け出す。
竹迫の目の前に現れたのは、黒竜の強烈な爪。しかし、竹迫はその爪をかわし、風を操って一気に黒竜の背後に回り込んだ。
「今だ…!」竹迫は一気に剣を振り下ろし、黒竜の鱗に切り込もうとする。その刃が黒竜の鱗に深く突き刺さるが、黒竜はすぐにその体を大きく揺さぶり、竹迫を吹き飛ばした。
それでも、竹迫は倒れずに再び立ち上がり、再度、全力で戦い続ける。彼の目には、ただの必死な戦いだけではなく、仲間を守るために戦う決意が込められていた。
最後の戦い
真生と竹迫の攻撃が交互に繰り広げられ、ついに黒竜に一筋の隙間が生まれる。真生はその瞬間を逃さず、再び「アーク・フレイム」を全開で発動させた。竹迫もそのタイミングで「風の加速」を使い、黒竜の動きを止めるために全力で攻撃を加える。
「今だ!」真生の声と共に、二人の攻撃が一つになり、黒竜に致命的な一撃を与えた。
黒竜は吠えながらも、その巨大な体を大きく揺らし、ついに力尽きて倒れ込む。最終的に、黒竜は二人の必死の努力によって倒され、静寂が広間に広がった。
勝利の後に
二人は倒れ込むようにして、その場に膝をつく。全身から力が抜け、汗と傷だらけの体を引きずりながら、互いに顔を見合わせた。
「やったな、竹迫。」真生は息を切らしながら微笑む。
「お前の力があってこそだろ…」竹迫は、力なく笑いながら答えた。
二人は肩を支え合いながら、ダンジョンの最深部での勝利を胸に、新たな冒険の始まりを迎えた。
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