第2話 初配信

そして、いよいよ配信当日。夜中の時間、少しドキドキしながら準備をしていた優碧。


「さて、どうしようかな…護もサポートしてくれるから、大丈夫だよね…?」


優碧は配信の準備を整え、カメラの前で一息ついた。画面が起動して、彼の顔が映し出される。ちょっぴり緊張しながらも、自分を励ますように呟いた。


「よし、がんばろう!まずは、ダンジョンで手に入れた食材を使って、簡単な料理を作ってみようかな。配信、開始!」


配信が始まると、優碧は元気よく話し始めた。


「みなさん、こんにちは〜!私は月城 優璃、ダンジョン探索者兼、Vtuberとして料理配信を始めました!今日は、ダンジョンで手に入れた食材を使って、夜中にちょっと背徳的な料理を作ってみたいと思います!今日は特に、豚肉料理を作っていこうと思ってます♪」


カメラが彼の手元にズームインして、アイテムボックスから取り出した食材が順番に並べられていく。中身は、普通の食材じゃない、少し変わったものばかり。


「まずは…これ!オークの『ロース』と『ヒレ』です!」


優碧はにっこりと説明しながら、豚肉みたいなオークの肉を手に取って、慎重に包丁を入れていった。その瞬間、コメント欄が賑やかに流れ始める。


「これ、食べても大丈夫なの?」「ダンジョンで取った食材って、美味しいの?」


優碧は少し笑って、コメントに答えた。


「大丈夫!私は探索者だから、調理法もしっかり知ってるんです♪だって、この食材を使ったら、どんな料理だって美味しくなるから!」


その言葉をきっかけに、視聴者の反応がどんどん熱くなってきた。


「見てみたい!」「どんな味なんだろう〜?」「オークってどれくらい強いの?」


優碧はニコニコしながら、オークのロースとヒレを切り、並べていく。見るからに美しいサシと、肉が光に照らされて、キラキラと輝いてる。


肉に薄力粉をまぶして、卵をまんべんなくつけて、パン粉を付けて油にあげると、「ジュワーッ!」という大きな音が響き渡り、視聴者の興奮を誘った。


「いい音!」「食べてみたい〜!」「飯テロだ〜」「食わせろ!」


コメントがどんどん流れ、優碧はちょっとずつ自信を取り戻していく。そして、フライパンに乗せて卵をかけながら温め、最終的にご飯に乗せて…完成!美味しそうなカツ丼ができあがった。


「やった!オークの肉カツ丼!美味しそうでしょ〜?」


次に、優碧はさらに豪華な食材を取り出した。それは、オークキングの『ヒレ』と『ロース』。その肉は、まるで金属みたいに輝いていて、冷たく、魔法のような雰囲気を漂わせていた。


「これが…オークキングの肉だよ!普通の肉とは違って、食べると不思議な力が湧いてくるって言われてるんだ。でも、どうやって調理すればいいのかな…?」


優碧は肉を慎重に切りながら、フライパンで焼く準備を整えた。その時、視聴者からこんなコメントが流れてきた。


「この肉、なんでそんなに輝いてるの?」


優碧は少し考えてから答えた。


「それはね…魔力が込められてるからだと思う。食べると、なんか力が湧いてきそうな気がするんだよね!」


配信が進んでいくうちに、優碧は次々と料理を作り、視聴者の反応もますます盛り上がった。彼のちょっと不器用な手つきが、逆に可愛いと感じる人が多くて、応援のコメントが次々と届く。


「でも、これって本当に大丈夫かな…?」


優碧はちょっと心配しつつも、カツカレーを完成させた。


料理が出来上がり、優碧は一口食べてみた。その瞬間、思考が止まるほど、今まで食べたことのない予想外の味が広がった。そして、ほんのりと元気が湧いてくるような感覚が広がって…


「うわ…肉汁が止まらない〜!」


その瞬間、視聴者からの「すごい!」「もっと食べて〜!」のコメントが一気に流れ、優碧は少しホッとした。でも、その時、突然配信画面がちらつき始めて…!


「え…?な、なに?」


画面に映し出されたのは、普通の料理配信じゃありえないような、異次元から来たかのような奇妙な光景だった…!


視聴者数:7万人以上!登録者数はなんと60000人を突破!


優碧は心の中で、「100万人いけたらいいなぁ〜」と思いながらも、料理を堪能し、コメントを楽しんでいた。でも、そんな中で、一部の視聴者は「俺も食べたい!」と書いて、伝えようとしてるコメントが流れてきた。


優碧は一部を皿に盛りつけて、他の部屋に持って行った。その後、その皿を完食して、笑顔で配信終了!最後に部屋から出てきた優碧は、波乱の初配信を終わらせたのだった。

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