第5話 秘策

俺たちは岩陰で作戦を立てた。


『イツキさんには四十秒ほど時間を稼いで欲しいのです。』


「稼いでどうする?」


『私の必殺呪文で一掃します。ですがチャージに40秒程かかってしまう為あなたに時間稼ぎをして欲しいんです。』


「その後は?」


『そうですね、強いていうならなるべく私の真正面まで引きつけてください。』


「了解」


俺は自身のスピードの制限を外すと竜に向かって石を投げた。


「おい、さっきからウロウロしてないで俺の方にかかって来い!」


ギャォォオ!

竜は血相を変えて俺の方へと走り寄って来ると鋭い爪を振り下ろしてきた。


「あぶねぇ」


ゴォオオオオ

俺がジャンプで交わすと竜は火を吹いてきた。

「クッ」


俺は咄嗟にマントで火を横にそらし剣を振りかざすと竜は即座に攻撃を受け弾き返す。

「うお」

パワーに俺が怯むのを見るとまた炎を吐いてきた。


「マズい!」

3回目のマント、もうアイテムに甘えることはできない。

俺は走り出してムミルの方に目を向けた。


「まだか⁉︎」

俺は叫んだ。


「準備OKです!」


「よし!」


俺は体を90°回してムミルの方へと向かう。


「まだだ、まだ」


ムミルとの距離はどんどん近づく。

「今だ!」


俺は横へとジャンプした。


「フッフッフ、受けるがいいこれが私の必殺技  『マナ バスター』!」

すると杖の先に集中したエネルギーは太い光となった。

グォオオオオオ と爆音と共に竜の体は光に飲まれ。辺りの岩場は一本の道のように抉れた。 

俺が竜がいた場所を見てみると辛うじて竜の骨が残っているばかりであった。


「すごい威力だな、、、あの竜が一撃で」


俺がムミルの方へ目をやると満足そうな表情でムミルは立っている


「どーですか? 私の必殺技はすごいでしょう?」


「あぁ、流石だな」


俺達がそんな会話を交わしていると俺は頭に何か落ちてきたような違和感を覚える。


「何だこれ、石?」


俺が不思議に思っているとムミルは血相を変えて叫ぶ


「やばいですよ、もうすぐここは崩れます。」


「何だって⁉︎」

俺は呆気に取られた。


「洞窟内であの威力の魔法を放ったら当然崩れてしまいますし、、、」


「マジかよ、、、まぁいい逃げるぞ!」

俺とムミルはダッシュで出口を目指した。


ゴゴゴ、、、

洞窟からはさらに多くの石が降り、もうすぐ崩壊しようとしていた。

俺とムミルの目先はすでに外の光を捉えていた


「出口だ、走れー!」


俺とムミルは外へ出ると後ろでドォーン と音がし、振り向くと入り口はすっかり崩れ落ちていた。


「ふ〜間一髪でしたね」

ムミルは胸を撫で下ろして語りかけた。


「あぁ、もうすぐでペシャンコだった。だが、かなりの大物だ300000ゴールドは下らないだろう。」









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