あくまでも持論ですが

磯町ひるね

人に話すとその作品が好きになる

 先日、私はとある映画を観た。けっこう面白いゾンビ映画であり、個人的な満足度は十段階で言うと七くらいだった。これは私基準で「人生ベストテンには入らないが普通に面白く、今後それなりに暇になったらまた観るかも」を意味する。


 そしてその次の日、昨日は映画を観て過ごしてたと母に話したところ、「どんなストーリーだったの?」という質問が返ってきた。

 そこであらすじや登場人物、見どころを説明したのだが、話し終わった後不思議なことに気が付いた。前日では十段階で七の評価だった映画の満足度が、その時は文句なしの十になっていたのだ。これはいったいどういうことなのか。


 恐らくよっぽどのクソ映画を観たということでない限り、映画の感想などを聞かれたら多くの人は自分的に面白かったシーンについて語るだろう。これが原因でないかと私は思う。

 人に話すときにあらすじや登場人物を語ることで、まず無意識に作品の構成要素が頭の中で整理される。そしてその上で自分の感じた面白かったシーンを語ることで、あたかもその感覚が作品全体を通じて感じたもののように錯覚するのではないだろうか。たとえその後に「でもここはイマイチだった」という点に言及したとしても、それはあばたもえくぼになる。こうして話し終えた後にはその作品の良いところしか記憶に残らない。


 なにもこれは映画に限った話ではない。漫画でもアニメでも、人でもそうだろう。例えば、特に好きでも嫌いでもない人の悪口を他人が言っていた時。「いやいやでもこういう良いところもあるよ?」と軽く弁護すると、なんとなくその人の好感度が上がっていたりしたという経験はないだろうか。これと同じ現象が起こったのであれば、映画の満足度上昇にも納得がいく。

 つまり何か少しでも好きな作品に出会えた時は、人におすすめしてみるのが良いのかもしれない。そうすればもっとその作品が好きになれるかもしれないし、それで友人が同じように好きになってくれたり、その言葉が作者に届いたりすればなおいい。


 という訳で私もここでおすすめさせてもらう。皆さん、「ゾンビスクール!」を観ましょう。

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