世界平和を目指す何でも屋
梅抹茶
第1話
「おい。まだか?」
「すみません…もう少しお待ちください。」
「さっさとしろ。俺はこいつの資料を上司に届けないと行けないんだからな。」
男が目線を研究員から離し、目の前容器に目線を送る。それは、透明な、液体で満たされていた。その中にいるのは、赤ん坊だった。体には無数の管が繋がれていた。この赤ん坊は、既に普通では無い。
「実験準備が整いました。」
「よし…初めてくれ。」
研究員がパネルを操作する。辺りに、機械音声が響く。
[NO.010の実験を開始します。実験 急速成長]
体に繋がれた管のひとつを、緑色の液体が流れる。
……何も変化が見られない。
「今回も、失敗か。」
男が容器に背を向ける。
「おおっ!す、すごい!」
研究員が歓喜の声を上げる。男がもう一度、容器に向き直る。
さっきまで、あんなに小さかった体が、140cmほどまで伸び、丸まっていた体は胸を張っている。髪は股下ほどまで伸び、爪が大人の手のひらと同じくらいの大きさまで伸びた。鋭く、まるで牙のような爪とは対象に顔は美しい。子供とは思えない程、凛々しく、整った、綺麗な顔がついている。体は足や腕、腹が異様なほど細いのだ。肉付きが、悪すぎる。顔色も白い。肉付きや今の環境を除けば、神の最高傑作と入れるだろう。この美貌の引き換えが、今の環境なのだろうか。
…ま、どうでもいいか。
外に出れば、容姿など関係ない。どんなに良くても、悪くても、強いかどうかだ。
NO.010の容態や実験結果、それによる変化などについてまとめた資料を持ち、上司の部屋を目指す。時刻は23時30分。監視カメラも止まり、室内は暗くなる。廊下に白い光がかすかに見える。部屋には1人、寝ている監視がいる。部屋は微かないびきしか聞こえない。
コンコン…コン
ゴポッ…ゴポゴポ
ブチッブチブチ
コン、コン…ゴンッ
…ペキッ
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