第18話

「暑いねー。」

「うん。暑いねー。」


そんな他愛のない話をしているのは『空さくら』と友達の『上野真里』だ。

二人は高校三年生で今年受験。

同じ大学に進学するために暑い中塾へ向かう途中。


「ねえ。さくら次の模試どれくらいいけそう?」


真里はさくらに来週ある模試について聞いた。


「どれくらいって聞かれてもわっかんないなー。」


さくらはそう答えるしかなかった。さくらは真里より成績はいいがなんせ本番に弱い。

だからテストはいつもズタボロだ。

二人は塾まであと200メートルもないところで小さな声に気づいた。


「なんか聞こえない?」


先に気づいたのは真里。


「なんか聞こえるね。」


さくらも耳をすます。


「ニャー」


今にも消えてなくなってしまいそうなほど小さな声でなく子猫が建物の影に隠れていた。


「あ。猫かー。」


真里は猫に近づいて抱きかかえる。どうやら怪我をしているようだった。


「痛そう…。手当してあげなくちゃ。」


さくらがそう言うと真里は今日の塾はさぼりだねとウィンクしながら言って

二人は塾とは正反対の道を歩いて行った。

暫く歩いて公園につくと来る途中で買った消毒液と包帯を使って怪我をしている部分に当てた。


「これでよし!」


真里は子猫を撫でながら手当をした。


「ニャー」


猫はありがとうと言っているかのように鳴いた。

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